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NFC(非濃縮ストレート)果汁市場が急成長(6)
大手飲料メーカーの匯源、農夫山泉、味全も続々とNFC市場に参入
2016年11月21日

大手飲料メーカーの匯源、農夫山泉、味全も続々とNFC市場に参入

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中国果汁業界の李^ディングカンパニー「匯源果汁」もNFC果汁製品「鮮搾坊」シリーズ「果100」を発売
  NFCという新興市場の勢いを目の当たりにし、大手飲料メーカーがこれを放っておくはずはない。各社がそれぞれポジショニングの異なるNFC製品を発売し、製品ラインの幅を広げている。

  15年9月、中国果汁業界のリーディングカンパニー「匯源果汁」がNFC果汁製品「鮮搾坊」シリーズを発売した。オレンジ、マンゴー、キウイ、ココナッツの4種の味で、300ml入りボトルの小売価格は18.8元。他の多くのNFCブランドとほぼ同価格帯だ。

  新たに参入した企業が原材料の供給網を構築するには、多くの資金、時間、労力を必要とするが、匯源の強みは国内果汁業界のリーダーとして、これまでに果物の産地と長期的な信頼関係を築いており、原料産地において徹底した品質管理を実施している点だ。

  ニールセンの調査によると、16年6月の100%果汁と中濃度果汁・野菜ジュースの市場における匯源のシェアはそれぞれ60.0%と39.4%を占めるなど、常温保存可能な果汁製品の領域では絶対的優位を誇っているが、冷蔵製品は得意分野とは言えない。またこれまで扱ってきた製品の多くは大衆向け製品で、高価格商品のマーケティング経験も乏しい。よって、NFC果汁「鮮搾坊」の成功の可否は今しばらく見守る必要があるだろう。

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中国飲料業界の巨頭、農夫山泉も16年1月、NFC果汁「17.5°」の販売を開始
  中国飲料業界の巨頭、農夫山泉も16年1月、NFC果汁「17.5°」の販売を開始した。フレーバーはオレンジとリンゴの2種で、330ml入りボトルの価格は12.9元、950ml入りが29.9元だ。現在大中規模都市を中心に販売を展開している。

  自身の販売チャネルを活かし、華東地区を中心に大型スーパーチェーン、高級スーパー、コンビニ等に徐々に浸透中だ。農夫山泉はその明確なポジショニングと庶民の心理に深く訴えるキャッチフレーズを巧みに使った強力なマーケティング力で知られるが、今回の17.5°も例外ではなく、「17.5 °、朝はジュース、夜は牛乳」という製品の消費シーンを鮮やかに打ち出している。こうしたマーケティング戦略がいかに功を奏するのか、今後も要注目だ。

  100%果汁市場において華東地区でシェア1位を占める味全も16年6月、「毎日身体管理」シリーズを発売した。味全が独自に実施した市場調査によると、現代の女性消費者は抗酸化、デトックス、美容美顔、免疫力アップ等の機能性健康果汁飲料を求めていることが浮き彫りになった。味全はこうした潜在ニーズに応えるべく、オレンジ&アセロラ、ミックスベリー、レッドドラゴンフルーツミックス等の幅広いフレーバーを展開、機能別で栄養成分の黄金比率を売り物としてアピールしている。

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100%果汁市場において華東地区でシェア1位を占める味全も1「毎日身体管理」シリーズを発売
  味全の人気定番商品である「毎日C 100%純果汁」シリーズとの直接的な競合を回避すべく、最初から異なるターゲット層を設定。「毎日C」が20~30歳のホワイトカラー層で月收5,000元前後をターゲットにしているのに対し、「毎日身体管理」は 25~35歳のホワイトカラー層で月收8,000~1万元前後が対象だ。

  ターゲットの幅を広げるため、「毎日身体管理」はNFC果汁100%ではなく、わずかではあるが濃縮果汁をブレンドすることで全体のコストを抑えている。価格は11.9元と一般的なNFC果汁に比べて低めに設定。健康を重視するより多くの消費層へアピールすることを目指しているためだ。

  匯源、農夫山泉、味全の御三家がNFC果汁市場に参入したことで、今後市場規模は大きく拡大し、消費者の認知度も大幅に向上することが期待される。(続)

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