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成都人のライフスタイルに融け込んだショッピングモール「成都遠洋太古里」(1)
レトロとモダンの競演
2016年12月27日
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2015年4月に開業した遠洋太古里は成都で一番の注目を集める商業プロジェクト
  四川省の省都・成都は、中国の内陸部において購買力の最も高い都市だ。商業施設の開発の最も盛んな都市でもある。仲量聯行が今年5月に公表した「2016年世界多国籍奢侈品小売企業吸引力指数」によると、中国国内における成都の人気度は、上海と北京に次いで3番目に高かった。世界的に見ても16位と、ミラノやアブダビ、サンフランシスコといった国際的大都市よりも上位にいる。

  14年時点で、成都で建てられた商業コンプレックスの総面積は1,500万㎡に上り、うちショッピングモールの面積は400万㎡超で、全国1位だった。建設中の商業施設も320万㎡で、世界第2位。パリの約20倍にあたる。

  まさに雨後の筍のごとく商業ビルやモールの開設ラッシュが進み、競争の激しさが増す環境の中、15年4月に開業した遠洋太古里。中国西部地区の伝統的な建築様式に現代的な要素を融合、ゆったりと開放的な空間設計に加え、数々の高級ブランドが一堂に介したテナントのラインナップを誇る。今、成都で一番の注目を集める商業プロジェクトだ。

  遠洋太古里は成都の中心的商業エリアである春熙路に位置している。二つの地下鉄線が交わってアクセスが良く、「成都千年古刹大慈寺総合発展プロジェクト」の一端も担うエリアだ。

  2010年末、太古地産と遠洋地産が20.03億元で土地を競り落としたことから始まったこのプロジェクトは、敷地総面積7.08万㎡、建築面積25.1万㎡。小売店の集まるストリート、ホテル、サービスアパートメント、オフィスビルが一体化した商業コンプレックスで、ショッピングモールの規模は約11.4万㎡、総投資額は80億元に達する。ショッピングモールの他、100の客室と42のサービスアパートメントを擁するブティックホテル「博舍」、47階建ての甲級オフィスビル「睿東中心」等で構成されている。

  成都市政府はこのプロジェクトの投資者を慎重に検討、決定までに5〜6年の時間を費やした。「寛窄巷子」、「錦里」に次ぐ、文化と商業、観光の要素をミックスした都市の新たな「顔」として、期待の大きさが窺われる。オープン後は消費者の高い評価を獲得、15年には開業から1年足らずで19億元の営業収入を実現。成都の商業プロジェクト全体の第4位に躍り出た。16年1〜6月までの半年間の営業収入が13.39億元に達し、再び人々を驚かせた。古い街道や歴史的建造物をそのまま残し、四川風の建築様式を踏襲したことで、外地からの旅行客も足を運ぶ観光スポットとしても成功を収めている。寛窄巷子や錦里等の著名なランドマークに比べると、観光スポットとしてのみならず、地元市民に対する吸引力もあり、商業的価値が高いのが大きな特徴といえるだろう。(続)

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