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中国アウトレット業界徹底研究 (7)
ブランド化と細分化が今後の発展トレンド
2017年1月31日

ブランド化と細分化が今後の発展トレンド

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二線・三線級都市では家族向け大・中型アウトレットが主流となっている
  アウトレット業界は、デベロッパーと運営会社の開発及び運営管理能力が強く問われる業界でもある。今後、チェーン化の傾向はより強まることが予想される。入居するブランド側としても、専門性が高く、過去に実績のあるデベロッパーや運営会社が運営するモールに出店することをより好むに違いない。チェーン化することで運営会社とブランド各社とのコネクションも強化され、以降のテナント募集も容易になるだろう。

  天津佛羅倫薩小鎮、奕欧来上海購物村、奕欧来蘇州購物村、上海佛羅倫薩小鎮、重慶砂之船西部奥特莱斯、成都時代奥特莱斯などは、いずれも高級ブランドのライナップが豊富で新しいことで名高いアウトレットモールだ。 こうした海外大手のアウトレット専業デベロッパーによるプロジェクトは、一流ブランドの出店数が多い「奢侈品アウトレット」であり、ターゲット層は主に富裕層だ。一方、国内のデベロッパーは国際的二流・三流ブランドや国内の高級ブランドを主に展開、そのポジショニングは中級消費者層向けの「トレンドアウトレット」といえるだろう。

  都市ごとの消費者像の違いにより、アウトレットの方向性も異なる。上海や北京など一線級都市の人々は流行により敏感で、ヨーロッパ型の小規模でクオリティ重視のアウトレットが人気だ。一方、二線・三線級都市では当地及び省内のファミリー需要に重点が置かれており、日本やアメリカ型の家族向け大・中型アウトレットが主流となっている。

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奕欧来上海購物村からディズニーランドまではシャトルバスで直結
  観光業界とタッグを組むケースも増えている。周辺の観光名所に着目し、アウトレットをその通過地点や近隣地区に建設することで観光圏を形成し、訪れる人がどちらも楽しめるようなケースも増えつつある。

  その好例が上海国際旅遊度假区の奕欧来上海購物村だろう。上海ディズニーランドやディズニービレッジに隣接された同モールは、ディズニーにアウトレットでのショッピング環境を提供、またディズニーもモール全体にレジャーやリラックスといった独特の雰囲気を醸し出しており、相互で補完関係を築いている。 

 
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台湾高雄義大世界はアウトレットとテーマパークが一体化
台湾高雄義大世界もアウトレットとテーマパークが一体化した好例だ。周辺には2つの五つ星ホテルも完備、消費者の多くは一泊二日の日程を組んで、1日目は義大世界游楽園で遊び、翌日は義大アウトレットで買物を楽しんでいる。 その成功モデルに学び、今も海上嘉年華、永泰城、世茂嘉年華などの観光型アウトレットプロジェクトが進行中だ。

  以下では、代表的なアウトレットモール4社をピックアップし、より詳細な分析を行ってみよう。それぞれが現在の中国アウトレット市場の異なる発展パターンを体現した代表例といえる。(続)

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