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2016年中国消費トレンド番付 (3)
小結にはシェアビジネスの代表格が、前頭には「コト」消費がオンパレードに
2017年2月20日

小結にはシェアビジネスの代表格が

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シェア自転車は新規参入が相次ぎ、“戦国時代”に突入
  小結は東がシェア自転車の「mobike(摩拝単車)」、西は「配車アプリ」とした。16年の春頃から上海の街角に突如として現れたオレンジ色のマウンテンバイク。夏頃には至るところで目撃するようになり、秋には週末の余暇(レジャー)としてサイクリングに利用している姿も目立つようになった。mobikeはスマホを介して附近の空き自転車を探し、自転車に搭載されたQRコードを読み込んで解錠するというシステム。30分1元の安さと、乗り捨て自由の利便さが人気の秘訣だ。16年終盤になると、黄色の自転車が目印の「ofo」、水色の「小鳴単車」、緑色の電動自転車「享騎出行」など新規参入が盛んとなり、企業間の競争が激化している。 一方で、収益モデルについては不透明なところもあり、今後インフラとして定着するのか、単にブームとして終わるのか、注視していきたい。

  「配車アプリ」については、東のシェア自転車と対峙させる意味のほかに、市民の生活の一部として着実に定着し、広く利用されていることから小結に選出した。14年に、スマホを使ったシェアエコノミーの概念を中国全土に一気に広める起爆材となったタクシー配車アプリ。その後、アメリカの配車アプリ大手のウーバーも中国進出し、タクシーから一般自動車“白タク”の配車にまでサービス範囲が広がった。ウーバーの参入とともに、「滴滴」や「快的」などのほか、中国レンタカー最大手の「神州」も同市場に参入。タクシー業界との軋轢などものともせず、利用者層を拡大した。最近では、半日や週日のハイヤーのほか、目的地を同じとする利用者を集めて相乗りする、まさに文字通りの「シェアライド」などの機能も充実。乗用車から商用バン、マイクロバスなど車種も豊富で、インフラとしての普及とともに新規雇用創出にも貢献した。

前頭には「コト」消費がオンパレードに

 前頭筆頭には東「網紅」、西「VR(仮想現実)」を選んだ。網紅(ネットスター)は西の関脇「ライブ動画アプリ(直播)」でも触れたが、一般市民がスマホ一つで何千万人もの視聴者を魅了できる時代になったのが、16年の象徴的なトレンドの一つだろう。特に最も話題を集めたのが「Papi醤」、上海出身の29歳既婚女性だ。15年7月にオリジナルのショートコメディー動画の配信を開始、瞬く間に多くのファンを獲得。 雑然とした住居を背景に、普段着に素顔といういでたちで登場し、音声変換器を利用して、一人芝居形式の動画を配信。16年4月21日に、北京で開催された広告入札で、上海の化粧品メーカーが2,200万元(約3億7,400万円)の高価格で落札し、メディア業界全体に大きな衝撃を与えた。これを機に、各分野で「網紅」が注目されるようになり、16年の流行語としても選出されるほどのトピックだ。

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「VR」体験施設は16年に一気に広まった
 一方、西の「VR」は世界的にもトレンドといえるが、特に中国では各地のモールや百貨店、観光地などでVRの体験コーナーが設置され、子供から大人まで専用のゴーグルを装着して興じる姿が目立つようになった。 中国の消費が「モノ」から「コト」へシフトしていくなか、「コト」テナントを集めたい商業施設の思惑とも合致した形で、このVR体験施設が16年に一気に広まった。(続)

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