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マラソンブーム到来、ランニング経済の巨大な潜在力(1)
2017年3月16日

マラソンブーム到来、ランニング経済の巨大な潜在力

 スポーツ関連産業の発展も見逃せない。政府の提唱する「全民健身計画(2016~2020年)」の後押しもあり、今後数年間でスポーツやトレーニングに参加する人の数は大きく増加することが予想される。毎週1回かそれ以上運動する人の数は7億人、頻繁に運動する人の数は4.35億人に達することが見込まれている。統計によると、現在定期的に運動している人の割合は33.9%。なかでもランニングは最も単純なトレーニング方法であり、ランニング愛好者の数は大きく増え続けている。

 商業ビッグデータ分析の中商数据が、各種歩数計算アプリやスポーツ用スマート機器の統計を総合した結果によると、中国のランニング愛好者の平均走行距離は17.5km/週、1年では約910kmだった。各人が北京から西安までの直線距離を走破した計算になる。フルマラソン21.5回分だ。全国でランニングを習慣にしている「ランニング愛好者」の男女比は約8:2で男性が多いが、歩数計算アプリの使用者の割合は4:6と女性が多い。女性は運動能力では男性に及ばないものの、ランニングの愛好度は同様に高まっている。年齢別では40歳以下の若年層が多く、平均年齢は28歳。更に月曜日から木曜日の走行距離が金曜日から日曜日までより長いという結果が出た。(図14:ランナーの年齢構成/図15:ランナーの毎週の走行距離の割合)

 

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  出費の面でみると、2015年にランニング愛好者が走るための装備に費やした費用は2,524元、うちウェアやシューズの費用はそれぞれ851元と753元、その他機器の購入費用が920元に達した。アメリカのランニング愛好者の装備への平均支出が4,102元であることから考えれば、中国のランニング市場にはまだ大きな発展の余地があると言える。現在、中国の東南沿海部の経済の発展している地区は、経済水準も高く、ランニングやマラソンイベントも頻繁に催され、ランニング及びスポーツの主要市場となっている。またランニング愛好者には高学歴、高収入、高職位という傾向もある。15年の「ランニング愛好者」の平均家庭月収は10,699元で、ランニング愛好者ではない家庭を36%も上回った。

 中国人のランニング熱は、ここ数年のマラソンブームにも表れている。中国陸上競技協会が公表したデータによると、2011年に中国で開催されたマラソンイベントは22回だったが、14年には53回、15年には134回に増え、参加者の数も200万を超えた。16年のマラソンイベントの回数は200回を超えることが予想され、20年には500回にも達すると見込まれている。 各地方政府もマラソンイベントの経済効果に着目し、積極的な推進に動き始めている。イベント自体へのスポンサーシップや参加費などの収入のほか、テレビ放映権収入、ニューメディアマーケティング収入、文化、観光、関連消費などの収入も見込まれる。

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