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新しい商業モデルをリードする「盒馬鮮生」(5)
コストパフォーマンスの良い良質の商品と現場調理が大きな特色
2017年5月23日

 

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盒馬鮮生の水産品売り場は魚市場に勝るとも劣らない
2016年1月15日と運営開始が若干遅めの盒馬鮮生だが、16年の生鮮ネット販売業界で最も注目に値する企業といえるだろう。盒馬鮮生の創業者は物流業界で20年の経験を有する元京東物流のトップ候毅氏。運営開始後すぐに、アリババが主導する1.5億米ドルのA輪融資を獲得、アリババグループの一員となった。

  盒馬鮮生が採用しているのは、簡単にいえばO2Oモデルだ。オフラインの体験型実店舗をベースに、それをアプリの倉庫・分配・配送センターとしても利用。 消費者は店舗で直接商品を購入することも、またアプリ上で注文を行うこともできる。配達範囲は各店舗の半径3キロ以内で、盒馬の配送チームが最短30分で商品を消費者の手元に届ける。オンライン業務と、オフライン業務の徹底した一体化が特徴だ。
創業1年で上海7店、寧波1店を運営、17年3月末には北京にも1号店を出店予定と速いテンポで拡大を続けている。

コストパフォーマンスの良い良質の商品と現場調理が大きな特色

  盒馬鮮生の特色は何だろうか?盒馬鮮生の店舗に足を踏み入れると、まず、その空間から普通のスーパーとは異なることに気づく。実店舗の存在意義は、あくまでも消費者に盒馬鮮生の製品やサービスを体験してもらうことが第一義。各店舗の面積は4,000~10,000㎡と大きく、商品の陳列も開放的で、高い棚は設置されておらず、歩いていて心地よい。

  製品は肉類、水産類、乾物類、米・面・油脂、果物・野菜、冷蔵冷凍品、ベーカリー、デリカなどに分けて陳列されている。なかでも目立つのは水産品売り場だ。大きな水槽がいくつも並べられ、生きたボストン産やオーストラリア産のロブスターから、特大のタラバガニや毛ガニ、各種魚やエビ、アワビなどの貝類まで、規模といい、種類の多さといい、魚市場に勝るとも劣らない。

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盒馬鮮生の果物は品種が多く、価格も安い
  果物・野菜売り場も負けてはいない。今、旬の苺を例にとると、様々な品種が売られており、どれも大きく色鮮やか。価格は普通のスーパーより低めに設定されている。輸 入ワインも種類が多く、価格の安い大衆酒だけでなく、多くの高級酒が専用のセラーに並べられている。 また、若年消費者の好みやライフスタイルを考慮し、「Ready to cook」、「Ready to heat」、「Ready to eat」の調理済食品や半製品に大きなスペースが割かれているのも特徴的だ。

  シーフードやステーキ用牛肉の解体・調理サービスを店内で行っていvる点も新しい。加工費を支払えば、イートインエリアでそのまま食すことも可能。 持ち帰って調理する手間も省ける。シーフードの場合、1キロ当たりの加工費は調理法にもよるが15~20元。ステーキ肉は等級により100グラム当たり36~79元と値段も手頃。レストランの要素をスーパーに取り込む手法は、他のスーパーでは例を見ない。結果的に多くの消費者から注目を集め、また高い評価を得ている。

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