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中国アパレル業界最新動向 (1)
減速感強まる中国アパレル市場
2017年7月3日

減速感強まる中国アパレル市場

   中国アパレル市場の減速感が強まっている。国家統計局が発表する全国社会消費品小売総額のアパレル類は1兆218億元で、同6.8%増だった。14年までの2ケタ%増の勢いはなく、GDP成長率とほぼ同じ水準である。政府系の調査機関、中華全国商業信息中心がまとめた全国重点大型小売企業の16年1~11月アパレル販売額は前年比0.6%増となり、ほぼ横ばいで推移した。(「図1:中国衣料品販売額の増減推移」を参照)

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  両統計の伸び率に違いがあるのは、14年から全国社会消費財小売総額にインターネット通販の売り上げが含まれたためだ。ネット通販の売り上げが伸びる一方、百貨店やショッピングモールが急激に落ち込んだことで、14年の全国社会消費財小売総額の伸び率の縮小は穏やかだったが、全国重点大型小売企業の落ち込みは急激で、14、15年の両統計の伸び率の差は10ポイント近くに拡大した。一方、16年にその差が6.2ポイントに縮まったのは、ネット通販の伸びの鈍化を反映した可能性がある。

  こうした中、百貨店をメインに出店するアパレルブランドは苦戦を強いられている。2012年までは2ケタ増収が当たり前だったが、近年は1ケタ増収にとどまるところや、前年割れするところも多い。ここ数年はメンズブランドの不振が顕在化していたが、16年はレディースも苦戦するところが目立った。

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アパレル製品の販促セールが常態化
  市況の低迷を反映し、アパレル製品の販促セールが常態化している。上海市内では季節を問わず、商業施設やオフィスビル、スーパーの空きスペースなどでセールが実施されている。

  ローカルアパレルブランドは近年、店舗縮小や在庫処分などの構造改革を進める一方、苦肉の策として外部委託生産(OEM)を増やしたり、売れ残りリスクの低減のため、サプライヤーに在庫負担を負わせる「委託販売」を採用している。ビジネスモデル自体の見直しを図り、これまでの加盟店ビジネスモデル(加盟店への商品売り切りモデル)から直営店を増やしSPA化(自販モデル)する傾向にある。

苦戦する日系ブランド

  日系ブランドも一部を除き苦戦している。2000年代後半からの中国進出ブームは12年に収束し、多くのブランドが撤退に追い込まれている。〝残留組〟がここ数年取り組んできたのは、不採算店の退店などの合理化だ。

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「ハニーズ」は日系ブランド「残留組」の代表
  オンワードホールディングスの現地法人、恩瓦徳時尚貿易(中国)は12年に過去最多の190店になったが、同年から合理化に取り組み純減に転じた。16年末は「23区」36店、「ICB」18店、「ローズブリット」10店、「組曲」2店、「ジルサンダー」2店、「チャコット」1店の計68店。ハニーズも11、12年と毎年200店を大量出店し、直営店が600店弱に増えた。当時は飛ぶ鳥落とす勢いで、セールを実施すると入場待ちの行列ができるほどだった。ところが13年から赤字に陥ったため、退店を進めてきた。16年9月時点で461店にまで減っている。

   両ブランドとも15年に合理化にメドが立ったため、16年は再攻勢を準備していた。ところが、16年の業績は芳しくない。

  恩瓦徳時尚貿易(中国)の16年売上高は、前年と比べ横ばいになった。店頭での販売数量は増えたが、アパレル市況の低迷により商品単価が下がり、売り上げが伸び悩んだ。こうした中、近年低迷していた加盟店は昨年末すべて閉店し、現在は直営店と販売代行店、セレクトショップでの委託販売の3つに絞った。坂本智彦董事長は「(オーバーストアなどにより)出店のリスクが高まっているため、今年は地元のリテーラーと組み、販売代行店とセレクトショップでの展開を増やしていく」と話す。

  ハニーズも2016年1~12月の既存店売上高は、前年に比べ12・1%減と苦戦した。16年は退店97店、出店29店で、68店の純減となり、16年末店舗数は435店となった。

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