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福岡でシェアサイクル普及なるか
モバイク旋風が日本上陸へ
2017年7月26日

 

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中国シェア自転車大手のモバイク(摩拝単車)が日本進出
 「中国シェア自転車大手のモバイク(摩拝単車)が日本進出」のニュースが6月に大々的に報道されました。まずは年内に福岡からスタートし、カバー範囲を日本全国に広げていきたいとのこと。駐輪場所の確保や放置自転車などの課題はありますが、日本進出を実現した勇気と決断に拍手を送りたいと思います。

 日本では、そもそもシェア自転車は必要なのかや、必要な人はすでに所有しているのではといった否定的な声もあるでしょう。しかし、上海での周りの声を聞くと、概ね彼らの「スピード感」に脱帽しているもよう。つい昨年の春先に突如として現れたオレンジ色の自転車が年内には街中を埋め尽くし、今や日本に進出というこの凄まじい事業展開の速さに感心。「行け行け」と前向きな声援を送っているようです。

 ただ冷静に考えてみると、様々なハードルが立ちはだかっているのも事実。中国のようにスマートフォン(スマホ)決済が普及していない日本でどのような決済手段を取るのか。また、福岡は平地でコンパクトな街なので使い勝手が良さそうですが、長崎や函館など坂の多い街では利用されないかもしれません。実際に中国でも坂の街として有名な重慶では、まだシェア自転車の進出がゼロです。

 こうした杞憂も中国企業にとっては「没問題(ノープロブレム)」。まずはやってみて壁にぶち当たったらまた対応を考えるという典型的な発想なのでしょう。そういう意味においては福岡市もまた賞賛に値すると思います。都市や地理的な条件がちょうどマッチしたのかもしれませんが、この新ビジネスモデルを快く受け入れた行政や市民の姿勢は、日本の他都市も見習うべきではないでしょうか。

 今回のモバイク福岡進出。もしかしたら日本人の利用はそれほど普及しないかもしれませんが、少なくとも訪日中国人観光客は喜んで利用するでしょう。団体ツアーから個人旅行がメインとなりつつある旅行客の交通手段として最適です。中国だけでなく世界各国の旅行客が利用し、そのニーズを見込んだ他のシェア自転車企業も続々と参入するかもしれません。そうした光景が日常茶飯事になれば、休日のサイクリングに利用する日本人も出てくるでしょう。

 モバイクが変えた中国の都市風景。日本でも旋風を巻き起こすことができるか、期待しましょう。

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