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「新小売」モデル推進の“秘密兵器”〜口コミアプリ「口碑(Koubei)」(1)
アリババグループのビッグデータ活用、加盟店の経営効率を改善
2017年7月27日

 

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「双十二(12月12日)」は支付宝が口碑と組んで主催する一大セールイベント
 支付宝(アリペイ)での決済が可能なレストランや小売店のレジで、「支付宝・口碑」と書かれた表示を目にする機会が増えている。支付宝やスマホで淘宝のアプリを開くと、そのトップページでも「口碑」の文字が目に入る。

 「双十二」をご存知の方も多いだろう。これは中国最大のネットセール「双十一(11月11日)」に次ぐ大型セールであり、支付宝が口碑と組んで主催するセールイベントだ。「双十一」におけるネットショップの大激戦がオフラインにも飛び火し、2016年の「双十二(12月12日)」には4,900万人が参加、口碑が提供したオフラインのセールを利用した。

「口碑(Koubei)」とは、どのようなプラットフォームなのだろうか?
どのようなサービスを特徴としているのか?

 「口碑」は、中国語で「口コミ」を意味する。その名から中国最大の口コミサイト「大衆点評」のように、多数のレストランや商店の情報が掲載され、ユーザーの口コミを参考にでき、各種の優待も受けられるサイト、と考えている人も少なくない。実際、「口碑」にはそのような機能も備わっている。

 しかし、「口碑」の価値はそれに止まらない。一言で言えば、「口碑」はO2O型のプラットフォームだ。自らの機能やビッグデータを利用し、オフラインのレストランや小売店にマーケティングや会員管理サービスを提供、消費者の来店率や消費を向上させることを主な目的としている。

 消費者の多くは口碑とは何かを認識する以前に、すでにそのサービスの恩恵を受けている。支付宝のオフラインユーザーであれば、自動的に口碑のサービスを受けるシステムになっているためだ。例えば、消費者が支付宝で支払を行った際に受取るディスカウントチケットや、消費体験の評価を求める画面は、全て口碑の機能によるものだ。

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「口碑」はアリババのオフライン戦略において重要な役割を担う
 中国のEコマースの発展は非常に目覚ましい。しかし実際のところ、消費の90%は今もオフラインで発生している。アリババとしても、オフラインはなんとしても開拓したい消費シーンだった。

 オフライン戦略において重要な役割を果たすべく、「口碑」はアリババとその傘下のオンライン金融企業「螞蟻金服」によって共同で出資、設立された。両社はそれぞれ30億元を投入、50%の株を所有している。

 2015年6月に正式な運営をスタート。わずか2年で200万店のレストランやショップを取り込むことに成功。現在1日1,500万件の取引が成立、業務範囲はすでに120の都市に及んでいる。アリババの16年第四四半期の財務報告書によると、口碑の取引額は731億元に達し、前年比257%の伸びを記録。その成長は目を見張るものがある。(続)

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