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「新小売」モデル推進の“秘密兵器”〜口コミアプリ「口碑(Koubei)」(5)
グループ全体で統一的に収集したビッグデータをフル活用
2017年8月3日

グループ全体で統一的に収集したビッグデータをフル活用

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ビッグデータの活用が「口碑」最大のメリット
  一方、加盟店側にとっての口碑の最大のメリットは、口碑や支付宝でやり取りされる膨大な量の「ビッグデータ」を利用できる点にある。

  ユーザーが支付宝で決済を行うと、その消費(額)データは記録され、まとめて加盟店に送信される。加盟店はそのユーザー像に基づいて商品を改善したり、マーケティングを行うことができる。

  また同時に、口碑は加盟店に対して、客がどんな料理(サービス)を注文したかのデータも共有するよう要求、その詳細なデータを提出させている。こうして収集したデータは、口碑のみで活用するだけでなく、前述の“生態系”に属する外部の提携先業者とも共有。さらにアリババグループ傘下の「天猫」や「高德地図」、「微博(ウェイボ)」などとも基本的な「データ共有協議」を締結、グループ全体でデータを統一的に管理及び活用している。

  よって、今後アリババの全てのプラットフォームにおいて、こうした基礎データが共有され、ユーザーはどのチャネルからでも目的に合ったマーケティングを行うことが可能になる。中国でも「ビッグデータ」や「AI(人工知能)」が注目され、単にデータを集めるだけの企業は数多く存在する。しかし、そうしたビッグデータを活用したビジネスの具現化となると、今のところ、アリババが先陣を切っているといっても過言ではないだろう。

附近の人気店をリアルタイムで表示する「人気眼」

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「口碑」の「人気眼」機能で“リアルタイム”の人気店がチェック可能
  消費者にとって、都市生活情報サービスのサイト(アプリ)を利用する目的は、様々な特典が享受できるからだけではない。何よりも重要なのは、附近の人気店やそのクチコミを素早く知ることができる点だ。

  口碑ではこの機能についてもさらなる改善を行った。これまでは「大衆点評」同様、付近(3キロ以内)のレストランについて、クチコミ評価のスコアに基づいてランク付けしていた。しかし、それ以外に新たな機能として「人気眼」をリリース。“リアルタイム”で人気店をランキング表示する機能だ。お店ごとに表示される「人気スコア」は、主に支付宝で実際に支払われた決済額をベースに随時算出され、一定期間内の売上額やユーザー評価も加算し、常に動態的に更新されている。

  ユーザーに提示されるのはまさにその瞬間の付近の人気店であり、同じ日でも時間によって各店の「人気度」が異なっている。競合の「大衆点評」が採用している従来型のスコアリング機能の場合、店舗は不正な手段により評価を「盛る」こともできてしまう。

  口碑の「人気眼」はオンタイムの経営データを利用しているため、消費者の実際の行動を反映した評価が可能だ。加盟店が支付宝で決済を行った回数がそのまま人気眼のスコアに直結する点には、支付宝の戦略も見て取れる。店舗が高い評価を得るためには、消費者により多く支付宝で決済をしてもらうしかないからだ。(続)

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