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中国世代論「50・60・70・80・90・00後」徹底分析 (4)
80・90・00後の特徴
2017年12月18日

【80後】
一人っ子政策の第一世代、大きなプレッシャーに直面

 

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大きなプレッシャーに直面する80後
80後は、中国が計画出産政策を実施した第一世代であり、「一人っ子」世代とも呼ばれる。

  改革開放の進展とともに成長し、幼い頃から飢餓や貧困には縁がなく、物質的に恵まれた環境で育った。青春期は90年代末から始まり、85後(1985〜89年生まれ)の青春期は21世紀だ。

  生活レベルは大幅に向上し、都市部ではマイカーを持つ家庭も珍しくなくなった。携帯電話も普及し、インターネットが生活に欠かせないものとなった。

  72年の日中国交正常化以降、大量の日本の文化や製品が輸入されるようになったこともあり、80後は日本のアニメを見て育った世代。このため日本文化やブランドへの親和力も比較的高い。

  80後は一人っ子が多く、兄弟姉妹を持たない。大人に溺愛されて育ち、分け合うことに慣れていない。自分勝手でわがままな性格になりがちで、社交力も著しく低下した。より高い教育を受ける機会に恵まれたが、大学が入学者数を増やしたこともあり、学歴の価値が相対的に下がり、就職は逆に困難となった。

  賃金の上昇が、不動産をはじめとする物価の上昇に追いつかない中、一人っ子政策の結果、将来的には夫婦二人でお互いの両親(四人の老人)と一人以上の子供を養わなければならなくなる。不動産は購入できず、車は買えず、充分な医療は受けられず、子供は多く生み育てることができず、老人と子供に挟まれて大きな経済的プレッシャーに直面する最も苦しい世代だ。

  但し、80後の生活ストレスも父母の経済条件次第で大きく異なり、裕福な家庭は住居や車に頭を悩ませることはない。「啃老」(親に頼る)のも80後の特徴といえる。

 

【90後】
楽観的で新しいモノ好き、消費至上主義

 

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娯楽文化と二次元文化の影響を深く受けている90後
90後は、中国経済の高度成長とインターネットの普及に代表される時代に育った。

  幼い頃から衣食住が保証され、政治問題や経済の波も経験したことがない。自己中心的で、強い消費欲と過剰消費傾向を持ち、好きなものはすぐに購入、やりたいことはすぐにやる。貯蓄の概念もない。

  95年は中国におけるインターネット元年であるが、90後は幼少期からインターネットを通じて大量の情報に触れて育ち、新しい物事を受入れる能力が高い。自由な観念を持ち、個性的であることや特別であることに価値を感じる。

  90後の親は60後や70後世代で、高い文化的素養を有する。事業の成功と高い生活レベルを追求し、子供の教育も重視。90後の多くは青少年の時代に海外を経験し、視野も広い。親に経済力がある彼らは、比較的自由にしたいことを追求することができる。

  将来に対しても楽観的で、就職の際も将来的な可能性や、自分の好みを重視する。ストレートで積極的なのも彼らの特徴で、環境に優しいライフスタイルを支持、環境のために自身の生活を変えることも厭わない。社会に貢献する企業や企業家を支持し、そういった企業の製品を好んで購入する傾向がある。

  90後の自己評価は「宅(オタクの意)」。彼らの多くは家でインターネットを頻繁に利用し、音楽、動画、ゲームを楽しむ。娯楽文化と二次元文化の影響を深く受け、スターの追っかけやアニメ、「萌(かわいい)」のモノを好む傾向も強い。

  90後前半層は社会人となり、結婚、出産期に入っている。その生活は95後(1995年〜99年生まれ)の学生とは大きく異なるものとなった。95後の父母は更に裕福で、彼らの消費力及び消費欲も更に高いものとなっている。

  幼い頃からモバイルに親しみ、生活や娯楽にスマートフォン(スマホ)が欠かせない。SNSのない生活は想像できず、娯楽文化や二次元文化の影響力は更に高まり、彼らの消費に大きな影響を与えている。

 

【00後】
溺愛されるモバイル時代の申し子

 

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モバイルSNSは、00後の生活に欠かせない一部分に
00後が生まれたのは、「人口紅利(ボーナス)」と呼ばれる時代。一人当たりの平均GDPが年々上昇する一方で、人口増加率が低下、彼らが成長す環境は物質的にそれまでと一線を画す豊かさの中にある。人口に占める子供の割合が減少したことも、00後が享受できるリソースを更に豊富にした。

  また00後は計画出産の果実である「421家庭」、つまり老人4人に一人っ子同士の夫婦、子供1人という家族環境で育っている。生まれた時から一家の注目を独り占めし、可愛がられて育っている。甘ったれで自己中心的なことから、421(溺愛)シンドローム、「熊孩子(悪ガキ)」などと揶揄される。
80後が「テレビ世代」とすると、90後は「パソコン世代」、00後は「モバイル世代」と言えるだろう。生活水準の向上と科学技術の進歩はコストの低下をもたらし、スマホ等の電子機器は00後に瞬く間に普及した。

  中国青少年研究中心が先日公表したデータによると、00後の携帯電話所有率は64.6%に達しており、この数値は90後が青少年だった時期の8倍に相当。インターネットの普及により情報の障壁が消失し、00後の世界観はこれまでよりも多元化し、独自の判断基準を持つようになっている。

  00後の父母の多くは70後で、職場では責任ある立場にあり、大きなストレスを抱えている。完全な一人っ子世代である00後は、孤独感からパソコンやスマホに耽る傾向が高く、90後同様、多くがオタク体質だ。

  モバイルSNSは00後の生活に欠かせない一部分であり、最も人気のあるSNSアプリはQQとQQ空間。ゲームも大好きで、「王者栄耀」と「英雄聯盟」は特に人気が高い。

  二次元の彼らへの影響力は絶大で、漫画アプリでの新作チェックは欠かせない。スターの追っかけにも熱中。目下のアイドルはTF Boysと鹿晗だ。
勉強にも学習アプリを多用。騰訊(テンセント)の「00後の人物像報告」によると、約3割が学習アプリをインストールしているという。なかでも写真を通して関連記述が検索できるアプリの人気が高いようだ。

  00後は向上心の強い世代でもある。世界大手マーケティング・コミュニケーション会社のオグルヴィ・アンド・メイザーの「00後世代研究報告」によると、彼らの多くは勉強のプレッシャーにも比較的楽観的に立ち向かい、努力も怠らない。他人の評価より自身の基準を優先し、成功に関する他人の目の重視度は10年前に比べて7%も低いという。また、お金を持っているだけでは成功者ではなく成金に過ぎないと考え、お金は成功の物差しにならない。金銭を成功の判断基準と考える割合は、10年前に比べ5%も減少しているそうだ。

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