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2017年中国消費トレンド番付 (4)
【大関】新小売コンセプトの新たな商業モデル~「盒馬鮮生」と「永輝超級物種」(1)
2018年3月15日

【大関】
新小売コンセプトの新たな商業モデル
「盒馬鮮生」と「永輝超級物種」

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タラバガニやロブスターなど高級食材の豊富な取り揃えが、盒馬の最大の特色

 

  「盒馬鮮生」と「永輝超級物種」は、新小売というコンセプトが生んだ2017年のニュースター的存在だ。

  「盒馬鮮生」は、アリババがオフラインのスーパーを完全に再構築した新業態。 従来型のスーパーに「出前」と「アプリ」を導入した点が大きな特徴と言える。

  店舗で直接商品を購入するだけでなく、アプリから商品を購入、自宅まで配達してもらうことも可能だ。また、シーフードやステーキ肉は、店内のキッチンで調理してもらいイートインコーナーで食することもできる。

  自社で開発した配送システムにより、店から3キロメートルの範囲内は、最短30分での配達を実現。 配達時間の指定もできる。

  現在、全国に25店を展開、上海の14店以外には、北京、寧波、杭州に店舗があり、成都店もオープン間近となっている。

  盒馬鮮生の経営品目は生鮮食品からデリカ、穀類や乾物類、酒・飲料、乳製品、ベーカリー、家庭用品など幅広く、一般のスーパーとあまり変わらない。1万品目近い商品は、消費者の日常生活におけるニーズをワンストップで満たすことができる。

  特に重点を置いているのが生鮮食品や果物など、毎日の生活に欠かせない商品類。なかでも生け簀に並ぶタラバガニ、ロブスター等の高級食材は、盒馬の最大の特色とも言える。 初めて訪れた人は、海産物市場にも引けを取らない豊富な海産品や巨大なタラバガニに度肝を抜かれるに違いない。

  筆者の上海在住の友人の多くも、すでに盒馬の忠実な顧客で、退社前に帰宅時間を逆算してアプリで注文を行うのがほぼ日課となっている。自宅に戻ればすぐに調理が開始でき、非常に便利だという。

  彼ら曰く、盒馬の生鮮食品は新鮮で、品質も安定している。価格も決して高くないうえ、自宅まで配達してくれる。伝統市場や他のスーパーに行く頻度がすっかり減ったというもっぱらの評判だ。

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「超級物種」では、店内で販売している高級食材をその場で調理してもらい、試食のコト体験が可能に

 

永輝超市(スーパー)の新業態「超級物種(Super Species)」も、コンセプトは盒馬と似ているが、こちらは「生鮮+飲食」により重きを置いている。

 2017年の元旦に本拠地の福建省・福州に1号店をオープン。現在、北京、南京、上海、福州、深圳、厦門、成都に計19店を展開し、17年末までには24店に増える予定だ。

 超級物種は、店内に鮭魚工房(サーモン)、波竜工房(ロブスター)、盒牛工房(ステーキ肉)、麦子工房(ベーカリー)、沙拉工房(サラダ)、生活果坊(フレッシュジュース)、咏悦滙(アルコール飲料)、有機生活館(有機食品)、花坊(鮮花)、烤物工坊(串焼き)など、それぞれ専門に扱う「物種」と呼ぶコーナー(ショップ)を設置、その他包装済み食品など幅広い商品が扱われている。

 各店は顧客構成に基づいて、様々な「物種」を組み合わせて構成される。盒馬と比べ、飲食により重点が置かれている印象が強い。店内で販売されているロブスターやイチョウガニ、サーモン、ステーキ等の高級食材は、その場で調理してくれるサービスもあり、手ごろな料金で美食が楽しめる。

 レストランというよりは、「高級食材体験店」と呼ぶ方がより適している印象で、食材をここで調理してもらって試食した後、新たに買って帰る消費者も少なくない。 (続)

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