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【第313回】 最新モールが消費をけん引
西安郊外に拡がる商業エリア
2018年3月21日
 西安も中国の他の都市同様に、昔ながらの市中心部から政府関係の移転や開発区の設置に伴い、新興衛星都市が郊外の各地に形成されています。その代表格が、市中心部の「鐘楼」から北に約10km、西安経済技術開発区を中心とした「経開」商圏です。

 西安市を取り囲む環状線の二環路と三環路の間、高速鉄道(新幹線)が発着する「北駅」を擁し、2011年3月の同市行政機関の移転を契機に、商圏が急速に広がっています。ここで注目すべき商業施設は「CityOn熙地港西安購物中心」です。

 王府井集団と米ショッピングモール「Taubman」が提携。16年4月に鄭州店に次ぐ2号店をオープンしました。米アパレルのFOREVER 21やH&M傘下のモンキ(Monki)が西北地区初進出となり、開業からわずか8カ月で5.76億元の売上を達成。特に5階のフードコートは必見です。吹き抜けの天井に開放的な巨大な空間がまるでアメリカのようで、視察時は午後2時半ながら満席の状態。客により長い時間滞在してもらう「コト」トレンドを強く意識した設計になっています。

 ここから西に1kmほどの場所にある、台湾・高雄を拠点とする「漢神購物広場」、またさらに南に5km下った未央路にある「印象城」も、イマ風の滞在型モールとなっており、周辺の地元住民から支持を得ています。さらに18年末には「西安大融城」も開業予定で、西安郊外の「消費昇級(アップグレード)」をリードしています。

 次に注目の商業施設が「老城根Gpark」。鐘楼からは北西方向に約6km。西安政府が隣町「咸陽」市との一体化発展計画を進める中核エリア「大興新区」に16年10月にオープンしました。新興の住宅街に突如して現れる異彩を放つ外観。漢時代風の建築を基調としながら、現代的な商業ストリートとガラス張りの屋根に圧倒されます。

 外観だけでなくモール内も、ステージショーのようなライトアップが幻想的で異空間の趣です。中央部に設置されたクリスタル風の大型オブジェは、音と光の効果も相重なり、近未来的な光景を演出。格好の「モーメンツ映え」スポットになっています。

 各テナント店も高級感溢れる外観と内装。さらには、焼肉や懐石料理、タイ料理、洋食、バーなど、屋外に設置されたテーブル席含め、上海にも匹敵するほどのハイレベル感を備えています。西安の郊外にもこれほどまでの消費を享受できる層が存在することを目の当たりにし、驚きが隠せませんでした。
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