中国消費洞察オンライン〜中国ビジネスをマーケティング視点から再構築!


2017年中国消費トレンド番付 (8)
【小結】オフライン販売と海外通販の盛大なセール日~「口碑・双12」と「越境EC・黒五」 (1)
2018年3月23日

 

 IMG_9619.jpg
消費者も積極的に双12セールイベントを活用
「口碑(koubei)」は、アリババが2015年6月に設立したO2O(オフライン・ツー・オンライン)プラットフォーム。日本の「食べログ」のようなクチコミ機能のほか、自社の各種サービスやビッグデータ分析を用いて、オフラインの商店に優待券などのマーケティングツールや会員管理サービスを提供。消費者の来店頻度と消費を増やすことを目的としている。

  アリババの「新小売」戦略の重要な役割を担い、口碑を通じて、人、物、場所の情報をデータ化、ビッグデータ技術を用いることで「新小売」コンセプトの具現化を目指している。

  現在、加盟店の数は250万店を超え、2017年11月現在の1日の取引件数は3000万件を突破。中国最大規模のO2Oプラットフォームに成長している。
毎年12月12日に開催される「双12」は、口碑が打ち出したオフラインのセールイベントであり、2015年にスタート。3年の成長期間を経た現在、「双11」に次ぐ、中国第二のビッグセール日となっている。

  「オンラインの双11、オフラインの双12」は、消費者にとっても、商店にとっても、1年に一度のビッグイベントだ。

  口碑の双12の販売力は強力で、商品は基本的に半額以下で販売。市価60元ほどのスターバックスの飲み物が25元、100元のフルーツもわずか25元で手に入れることができる。

  この強力な値引きは、消費者の消費熱を大きく刺激、深圳などでは、市民が深夜から並んでフルーツを購入する姿や、コンビニを漁る光景も見られた。

 1212.jpg
消費者も積極的に双12セールイベントを活用
  口碑が公表した公式データによると、17年の双12では、全国300あまりの都市で、100万の商店が参加。全国のスーパーの数は約8万店ほどだが、うち2.4万店が、双12イベントに参加。レストランは、全国530万店のうち、60万店近くが参加。全国に約4000店あるショッピングモールや大型デパートも、うち1000店が参加。 コンビニは全国約8.3万店のうち、4万店近くが参加した。

  双12の単日で1.4億枚の優待券が発行され、6500万件の取引が成立。フランス系スーパーの「カルフール」では、たったの12時間で、口碑を通した取引額が1億元を突破。中国のフライドチキンチェーン「徳克士(Dicos)」は、1日に30万食の手羽を売り上げ、香港系ドラッグストアの「ワトソンズ(屈臣氏)」は、40万枚以上の美容パック商品を販売した。

  参加者総数は2800万人に達し、オフラインの実態型店舗に1950万の新規会員を生み出した。平均的な客数の伸びは100%を超過。オフライン消費の主力は若年化傾向にあり、取引総数に占める95後(1995〜99年生まれ)世代の割合は、30%に達した。一方、高齢層の消費も92.4万人と高かった。
2015年と16年の双12は、モバイル決済の急速な普及にも繋がった。17年の双12には、多くの店舗がデータ分析やプレシジョンマーケティング等の技術を導入、プロモーションの有効性を大幅に高めることに成功した。

  双12は消費者だけでなく、全国のオフライン商店にとっても、重要なイベント日となっている。オフラインの小売店がインターネットと手を結ぶ、まさに「新小売」を体現する一日でもあるといえるだろう。

Copyright (C) CAST Consulting Co., Ltd. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.
本資料に関する著作権は弊社又は弊社に所属する作成者に属するものであり、本資料の無断引用、無断変更、転写又は複写は固くお断りいたします。

 

このページをA4版で印刷する
 前のページに戻る

pageTop