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新小売潮流下の物流競争~京東物流VS阿里巴巴菜鳥網絡 (5)
京東と菜鳥によるスマート無人倉庫の積極展開
2018年4月19日
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京東のオールスマート化無人倉庫
 中国政府の国家発展改革委員会のデータによると、2016年の中国の物流コストは、国内総生産の14.9%を占めたという。これは世界の平均レベルよりも高い水準で、物流コストを引き下げ、物流の効率を高めるべく、スマート物流の推進が進んでいる。

 現在、京東物流は、物流のスマート化のために、多くの実践を積んでいる。具体的にはオートメーション化と運営のデータ化、スマートサプライチェーン等の実現が目指されている。

 オートメーション化については、全国に13ヶ所の「亜州一号」スマート物流センターを建設。物流フローの多くの段階において、自動化を実現した。

 また、京東物流が自社開発した世界発のオールスマート化無人倉庫が、17年の双11期間に上海の嘉定区で運営をスタート。敷地面積は4万㎡に及ぶ。物流センターは、集荷、倉庫、オーダーの選別、パッキングの4つの作業システムで構成されている。

 倉庫システムは、8組のシャトル式立体倉庫システムが採用され、同時に6万箱の商品を保管することが可能だ。貨物の入庫、パッキング等の段階では、3種の異なるアーム型ロボットを採用。入庫、コンテナ積込み、選別、混合パレタイズ等の各段階で稼働している。

 選別場内でも、3種の異なるスマート運搬ロボットが業務を実施している。入庫から保管、パッキング、選別の全過程において、スマート化と無人化を実現、1日の処理能力は20万件に達している。

 また、京東物流の昆山(江蘇省)無人選別センターは、小口の選別を主要業務とし、場内は100%自動化されている。 ロボットの選別速度は3600回/時で、人の5~6倍に値する。

 京東物流の無人化の最大の特徴は、ロボットが大規模で、かつ広範囲に導入されている点だ。全体のフローにおいて、異なる機能や特徴を持つ複数のロボットが導入。各ロボットは、システムの指示によって業務を処理するだけでなく、自動的に障害物を避けたり、ルートを最適化したりする能力も併せ持っている。

 オートメーション化、スマート化の達成率は100%に達し、EC企業の様々なニーズに対応することが可能となった。

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菜鳥のスーパーロボット倉庫
 菜鳥網絡も完全なスマート化の実現に力を入れている。スーパーロボット倉庫、末端配送ロボット等を導入。またこれらをベースに、消費者や企業に対してオフラインとオンラインを融合したオムニチャネル概念の「新小売」ソリューションを提案している。

 2016年の双11期間中、菜鳥網絡は、浙江省・海寧に建設したスマート倉庫の稼働を開始した。同社が自主開発したスマートAGV(無人搬送車)ロボットが、人に代わって商品の分別、コンテナ積込みを実施。このAGVロボットは、視覚識別、レーザーナビゲーション、障害回避等の機能を持ち、様々なシーンに適応することが可能だ。

 17年、菜鳥網絡は上海、天津、広東、浙江、湖北などの重点都市にも、スーパーロボット倉庫を設立。 フルオートメーション化された処理ラインのみならず、各種ピッキング・種まき・分別ロボット、AGVマトリクス、ロボットアーム等も配備されている。

 最も特徴的なのは、倉庫運営企業の「北領科技」とスマートロボット・ハードウェアメーカーの「快倉科技」が共同設立した「広東恵陽超級機器人旗艦倉庫」だ。全国最多となる150機のAGVロボットを投入。 ロボットが自ら建設した倉庫でもある。空っぽの倉庫施設に基本の電気設備のみを設置。学習を積んだAI(人工知能)ロボットが、スマート倉庫の建設を完成させた。

 菜鳥網絡が17年8月に公表したデータによると、従来型の倉庫の分別担当者は、7.5時間勤務中に2万7924歩で、1500件の荷物を分別する。スマート倉庫の場合、担当ロボットは同じ労働時間に2563歩しか移動せず、3000件の荷物を分別することができる。双11の物流に対応するこれらの努力の結果、倉庫の効率はさらなる進化を遂げた。

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