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【第218回】 健康意識高まる中国でスポーツ需要増
マラソンブームで日本企業に商機
2018年4月25日
 先月に上海の虹橋から浦東に引っ越して以来、生活リズムの違いを強く感じます。市の中心部で、古くから発達した虹橋を含む「浦西」(※上海では黄浦江(河)を境に東西に分け、それぞれ浦東・浦西と呼ばれます)は、ビルやマンションが密集し、道も狭く、いつも車や二輪車で渋滞しているイメージです。

 一方、浦東は新興都市ならではの趣で、道幅も広く、かつ二輪車と歩行者それぞれの専用道も整備。そのせいか、車も朝夕のピーク時は別として、それほど混雑せず、また歩道など緑化も進んでおり、どこかのんびりした雰囲気があります。

 そうした中、特に引っ越してから目につくようになったのがジョギングをしている人たち。ここ2~3年、巷ではマラソンブームと騒がれている中国。しかし、以前の虹橋の自宅周辺で、ジョギング姿を目にすることはほとんどありませんでした。一方、浦東の自宅周辺では、世紀公園がすぐそばという立地環境もあるでしょうが、ジョガーの多さに驚いています。

 先週末、私もそうした雰囲気に乗せられ、世紀公園へ。ジョギング専用のタータンレーンが公園を取り囲むように約5キロメートル敷かれています。夕方の時間帯でしたが、多くの人がジョギングやウォーキングに勤しんでいます。本格的にハイペースで走る人もいながら、友達としゃべりながらウォーキングを楽しむ人など多種多様。

 ただ、そうした中、ふと気付いたのが、ほとんどの人が本格的なウェアを身に着けていること。ランニング用のタイツに速乾性のシャツ、メジャーブランドの帽子やシューズのほか、スマートフォン(スマホ)ホルダーやポーチなども。色もカラフルで、普段のジャージ姿で出かけた自分が恥ずかしいほどでした。

 ニールセンの調査によると、市民の週平均運動時間は4.2時間で、スポーツ関連消費は年間1213元とのこと。北京や上海など一線級都市では2927元でしたが、二線級(省都)は2105元、三線級(地方都市)は2438元とほぼ拮抗。四線級になると1571元に落ちますが、改めてこうしたスポーツ需要が中国全土に広く広まっていることがわかります。

 2017年には、参加者800人以上のマラソン大会が全国1102カ所で開催されました。そのうち、陸上協会共催の大会は前年比83%増の223で、参加人数は498万人。20年にはこられ数字が、それぞれ1900、350、1000万になると見込まれています。ちょうど先週末には上海ハーフマラソン大会が浦東の東方明珠塔を基点とするコースで開催され、約1万5000人が参加しました。

 健康意識がますます高まる中国。アジアのマラソンブームに火をつけた日本企業にとっても、無限大の可能性を秘めたマーケットが広がっています。 
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