2018年6月26日

  ここ２年ほどの間、摩拝単車（モバイク）やofo（オッフォ）などのシェア自転車とともに、滴滴やウーバーといった配車アプリの普及に後押しされ、中国消費者のシェアエコノミーに対する受容度が大幅に向上。今や中国人の生活にすっかり溶け込んでいる。

  国家情報センター情報化研究部及び中国インターネット協会シェアエコノミー業務委員会が共同公布した「中国シェアエコノミー発展報告2016」によると、2015年の中国シェアエコノミー市場規模は約1兆9560億元、サービス提供人員約5000万人、シェアエコノミーに関与している人の数はすでに5億人に達しているという。

  こうしたトレンドの下、中古品や不用品の売買もシェアエコノミーの一形式として、消費者だけでなく投資家からも注目を集めている。

  統計データによると、16年の中国不用品取引規模は、少なく見積もっても4000億元に達しているもよう。滴滴に代表される配車アプリの市場規模が1500億元であることを考えれば、その規模がいかに大きいかがわかるだろう。

  不動産や自動車のような「重」資産と比べ、誰もが持っている（使用している）書籍、デジタル電子製品、衣料品、化粧品、アクセサリー、電気製品といった「軽」資産の不要品は、数だけでなく種類ともにはるかに多く、また当然ユーザーの数も大きい。

  アリババ系ネット通販大手の淘宝（タオバオ）が実施した最近のユーザー調査によると、不用品を所有している人は98%にのぼる。またそのうち、半数以上の人がその不用品をそのまま放置しているという。

  今後、人々の所有物は増加の一途を辿り、不用品の数も増え続けることが予想される中、不用品や中古品の取引市場が、電子商取引（EC）にとっても大きな潜在力を秘めているといえる。

  中国のアプリマーケットで「閑置(不用品)」と検索すれば、不用品取引関連のアプリが数十種もひしめいているのを目にするだろう。いずれもここ2年ほどの間に運営をスタートしたアプリばかりだ。

  モバイルビッグデータサービスのQuestMobileが公表した最新の「中古品取引業界観察」によると、14年以降、中古不用品市場は劇的な成長を遂げているという。ユーザー規模は14年に158万人だったのが、15年は1107万人、16年に2880万人と急増。17年末の時点で、4000万人近くにまで急伸し、モバイルユーザーへの浸透率も3.6%に達している。18年には、これが5000万人に達すると見込まれている。
（図1：2014〜19年中古不用品取引市場ユーザー規模） 

  数ある中古不用品取引プラットフォームの中でも、中国ネット業界をリードするアリババと騰訊（テンセント）系の大手２社が火花を散らしている。

  前者がアリババグループ傘下で「淘宝二手」の進化系である「閑魚（2.taobao.com）」。後者が、中国最大手のクラシファイド広告サイト「58同城」とスマートフォン（スマホ）SNSの微信（ウィーチャット）が共同で運営する「転転（zhuanzhuan.58.com）」だ。この２社が市場シェアの約90%以上を占め、中国中古不用品取引の業界をリードしている。

  モバイルビッグデータサービスの極光大数据 が発表した「2017年度ネットショッピングアプリ市場研究報告」によると、17年12月時点の中古不用品取引プラットフォームのランキングで、閑魚が4.30%の浸透率でトップ。転転が1.96%でこれに続いている。（図2：中古品ECアプリの浸透率トップ10）

  1日のアクティブユーザー数（DAU）で見ても、閑魚の月平均DAUは581.6万人、転転が135.8万人で1位と2位を占めている。（図3：中古品ECアプリ 月平均アクティブユーザー数）

  以下では、この２強の中古不用品取引プラットフォームの運営モデルや発展状況について紹介しながら、中国“フリマ（フリーマーケット）アプリ”市場の現状や今後の発展性について考察してみよう。(続)

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