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いま話題のミュージック動画アプリ「抖音(Tik Tok)」(1)
わずか15秒のショート動画が中国の若者を魅了
2018年7月10日

 

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「抖音」はアップルApp Storeの無料アプリランキングでトップに
 最近、中国の若者たちの間で大流行しているスマートフォン(スマホ)アプリがある。「抖音(Tik Tok)」というミュージック動画アプリだ。

 1つの動画はわずか15秒間のみ。 ユーザーは、他人がアップしたショート動画を再生して鑑賞するだけでなく、自ら撮影・加工したショート動画を投稿する楽しみ方もある。

 抖音で使われる音楽は、電子音楽やダンスミュージックがメイン。躍動感があり、ちょっとミステリアスで、クールな印象が強い作品が多い。

  アプリに備わっている映像の特撮効果や画像の加工、シーン切替などの機能を使うことで、誰でも容易にオリジナル、かつプロが作ったような動画を作成できるのが人気の理由となっている。

 筆者が初めて抖音に触れたのは、数か月前の友人との集まりの席だった。友人の中学一年生になるお嬢さんが、スマホで同級生と撮った抖音のショート動画を見せてくれたのだ。

 動画の中での彼女は、レベルの高いダンスを披露、表情も可愛らしいのだが、何よりその特撮効果が斬新的で、非常に完成度の高い作品になっていることに驚かされた。

 彼女によると、学校の友達の多くが抖音に夢中になっているとのこと。一緒に抖音で鑑賞・撮影するだけでなく、話題にのぼることも多いため、知らない人は話に乗り遅れてしまうともいう。

 

抖音の人気は?

 

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95後と00後の若者世代が「抖音」の主要ユーザー層
 では、抖音の人気はどれほどなのか?

 抖音が公表したデータによると、2016年9月に正式に運営をスタートした抖音アプリは、17年8月の時点で、1年も経たずに1日の動画再生回数が10億回を突破。17年末にはアップルApp Storeの無料アプリランキングでトップに立ち、現在もその地位を維持している。

 モバイルビッグデータサービスのQuestMobileの統計によると、18年の春節期間中、1日のアクティブユーザー数は6646万人に達したという。いまや、中国では多くの若者が“魔物に取り憑かれた”かのように抖音に魅了され、連日深夜まで動画閲覧に夢中になっている。

 QuestMobileの統計では、抖音ユーザーの多くが24歳以下の若者層となっている。つまり、95後(1995〜99年生まれ)や00後(2000年代生まれ)世代で、その割合は75.5%にも及んでいる。

 実際、このデータは全く誇張ではないだろう。筆者の周りの30代から40代の友人たちは、みな子供から抖音とは何かを教わっている。

 中国のモバイル及びネット専門の調査会社である艾媒諮詢(iiMedia Research)が発表した18年2月のショート動画プラットフォームのランキングにおいて、抖音は1億超のユーザー数でランキング2位に躍り出た。ちなみにトップは、01年に運営をスタートしたショート動画「快手」。しかし、ユーザー数の伸びを比べると、抖音が76%でトップに立ち、快手の10%を大きく引き離している。

 以前から、ショート動画アプリは数多く存在していた。にもかかわらず、抖音はどうしてここまで急速に中国の若者の間に浸透したのか?製品やマーケティング面で、どのようにして若者の心を捉えたのか?中国のショート動画市場は、今後どのような発展傾向を見せるのか?企業にとって、抖音のようなショート動画メディアがどのようなマーケティングツールとなりうるのか?

 以下では、こうした観点から、より深い考察と分析を試みてみよう。

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