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中国でも日本の「抹茶」がブームに (1)
健康、美味、見栄えの良さが若者のニーズにマッチ
2018年8月14日

 

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西安発の抹茶スイーツ店「初代」
  2017年の国慶節休暇で訪れた陝西省・西安。市内各地で新規開店ラッシュのショッピングモールの数々を視察している際に、ある光景が特に気になった。それは、「初代」という名の抹茶スイーツ店。どのモールにも必ずといっていいほど店舗を構えており、かつどこも若者客を中心に盛況だった。

  瓦屋根と暖簾(のれん)の門構えは、まさに和風テイスト。桜の造花が飾られ、木の温もりを感じさせる内装が日本の茶屋を彷彿とさせ、畳の座敷席を備えている店舗もあった。

  「なぜ内陸の西安に抹茶が?」と驚きを隠せなかったが、 実はこれは西安だけに限らない。いまや、中国の「抹茶ブーム」は、すでに一線・二線級の主要都市だけでなく、地方都市含め全国に広がっているのだ。

  現在、上海や北京、広州などの大都市で、大型のショッピングモールに行くと、ほぼ例外なく抹茶スイーツの店に行き当たる。これらの店では、抹茶味のドリンクやスイーツをメニューに取り揃え、いずれも高い人気を博している。

  行列ができていることも多く、その人気は、17年9月号で紹介した近年流行りのニュータイプの「喜茶(HEYTEA)」や「奈雪の茶」、「恋暖の初茶」といった中国茶飲料チェーン店に勝るとも劣らない。スマートフォン(スマホ)SNS・微信(ウィーチャット)の朋友圏(モーメンツ)でも、抹茶スイーツ店で撮影された様々なメニューの写真が頻繁に投稿されている。

  抹茶は、中国でいまや新たな「網紅(ワンホン)」(※ネットで人気の人やモノ)といっても過言ではないほどの盛り上がりを見せている。

 

メインターゲットは若い女性
ファミリーマートも抹茶ドリンクを販売

 

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中国で代表的な抹茶カフェブランド「宇治茶舗」
  中国で、抹茶味が広まったのは、実は少し前に遡(さかのぼ)る。

  数年前から、スーパーの陳列棚に、グリコの「百奇(ポッキー)」や「百醇(Pejoy)」、UHA味覚糖、明治など日系の製菓メーカーのほか、韓国系Orionの「好麗友(チョコパイ)」、米系「DOVE」のチョコレートなど、抹茶フレーバーが徐々に増え始めた。

  スターバックスの抹茶フラペチーノも高い人気を集め、2017年には、ボトルタイプの抹茶ラテも発売された。マクドナルドやKFC(ケンタッキーフライドチキン)も、抹茶味のソフトクリームを売り出すようになり、最近ではMcCafe(マックカフェ)やファミリーマート(全家)でも、抹茶シリーズのドリンクが販売されている。

  ネットでも様々な抹茶味のスナック菓子が溢れるほどの多さで、人気の地場系ビスケットブランド「法麗慈(Franzzi)」は、抹茶マニア向けのセット商品を発売した。

  抹茶フレーバーは、一種の消費トレンドとなり、街角のパン屋やコーヒーショップでも、抹茶味の各種商品が店頭に並ぶ。 抹茶をテーマにしたブランドも次々と誕生している。

  現在、中国で抹茶をテーマにしたり、メインに売り出しているブランドは、100近くにのぼるという統計もある。また、その多くが上海を中心に周辺の江蘇省・浙江省を含む「長江デルタ」地域に集中しているのも特徴だ。

  比較的知名度の高いブランドとしては、宇治茶舗、無邪、西尾、初代などが挙げられる。 また辻利茶舗など日本の老舗抹茶ブランドも、続々と中国市場への進出を果たしている。

  こうした抹茶スイーツ店に共通するのは、アイスクリーム、洋風・和風スイーツ、抹茶ドリンク、コーヒーなどのメニューが豊富に揃っていること。また 、清潔でハイセンスな店内のインテリアには、到るところに和風テイストが取り入れられている点だろう。

  主なターゲットは若年層で、特に女性だ。価格は抹茶アイスクリーム1つで16~20元前後。商品の多くが30~40元前後で、スターバックスのコーヒーやハーゲンダッツのシングルカップのアイスクリームとほぼ同程度。決して安くはない価格だが、どのお店も多くの若者客で賑わっている。

  抹茶スイーツ店は、中国の消費者にとって、カフェ、ミルクティーショップ、茶飲料店に続く、新たな“定番”になりつつあるようだ。

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