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かつての“最も貧しい省”が変貌中
ビッグデータ産業で注目される貴陽
2018年9月19日
 貴州省と聞いて、ぱっとイメージが湧く人は何人いるでしょうか。観光スポットにしろ、料理にしろ、あまりメジャーなものがないように思えます。場所も、北に重慶があり、時計回りで湖南、広西、雲南、四川省に囲まれ、海にも川(長江)にも接しない “陸の孤島”のようです。

 改革開放政策による経済発展の波にも取り残され、GDPの観点から「中国で最も貧しい省」と長らく言われたりもしました。それもそのはず、省内の8割が高山と高原で、「八山一水一分田(8割が山、1割が河川・湖沼、1割が耕地)」とも言われる貴州省。高速道路を整備するにも、ひたすら山間に橋を建てるしかない状況。工場進出もままならず、いわゆる製造業を柱とする経済発展からは、一線を画するしかありませんでした。

 一方、大自然の観光資源は豊富です。最も有名な「黄果樹大瀑布」はアジア最大級の滝で、貴州省で“マストゴー”の観光スポット。これ以外にも、ユネスコの世界遺産に登録されている南方カルスト地形の「茘波」や丹霞の「赤水」も大自然を満喫できます。また、少数民族の軍事要塞だった遵義の「海龍屯土司城」も世界遺産で、30超の少数民族の生活や踊りを楽しむ観光地として最近は人気があります。

 省都の貴陽。標高約1000メートルに位置し、年平均気温は15.3℃。夏でも平均気温23.2℃で、最高気温も25~28℃の間と涼しく、中国でも有数の「避暑の街」として有名です。11カ所の森林公園を擁し、森林カバー率は46.5%。観光業をメインとするサービス業に依存する産業構造が特徴で、比率も1次から3次で「4.2:38.8:57.0」(17年)となっています。

 特異な地形から、農業や製造業での発展が進まなかった貴陽ですが、ここ数年、中国内にとどまらず、世界中から注目を集める産業育成・発展が進められています。それが「ビッグデータ」。その産業集積地として一躍、経済成長率でも中国内で上位の常連となった貴陽。ヒト・カネ・モノが集まり始めた常住人口486.20万人(17年)の同市の消費現場について、次号以降お伝えしていきたいと思います。 
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