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アリババ初の自社運営モール「親橙里」(5)
世界中から“良い”モノを集める「全球心選」
2018年9月27日

 

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「淘宝心選」のセルフレジシステム
  値札には電子(IC)タグを採用し、オンラインと連動。オンラインでディスカウントされれば、店内の価格も自動的に調整される仕組みになっている。

  顔認識技術も導入され、天井部に隠されたカメラで消費者を識別。顔と淘宝IDを消費行動と連結し、全てをデータ化している。

  支払いには、近年普及が進むセルフレジシステムを採用。 消費者は自分で商品に付いているバーコードを読み込ませ、最後はスマホ決済の支付宝(アリペイ)で支払いを済ませる。

  セルフレジ機の横には様々なショッピングバッグが並び、必要に応じて購入できる。この際もバーコードを読み込んで支払い。こうした消費データはすべて、淘宝心選のビッグデータの一部として記録される。

 

世界中から“良い”モノを集める「全球心選」

 

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世界中から良質の商品を集めた「全球心選」コーナーで、日本製の弁当箱を販売
  淘宝心選には「全球心選」というコーナーがある。日本や北欧などからの輸入商品が並んでいるのだが、店員の紹介によると、選抜基準は非常に厳しく、優秀なデザインや先進的な生活コンセプトを中国消費者に紹介することを目的としているという。

  視察当日には、日本製の弁当箱や、美濃焼の茶碗、真鍮製の手作りマグカップなどが陳列されていた。

  商品の製造委託先を選択する際、数多くのメーカーから、その資質や技術、原材料など100項目以上を精査・検討、総合的に優れたメーカーを選抜している。

  製品の品質管理も厳格で、すべてのロットを検品。生産プロセスも再三検査し、商品の機能だけでなく、エコ対応や省エネ効率、物流・パッケージ等にも基準を設けている。

 

「淘宝心選」の真の目的とは?

  淘宝心選の真の目的は、「淘宝心選」というブランドを育てることではなく、新しいプラットフォームを創造することという点も特筆に値する。

  アリババのビッグデータやリソースをフル活用し、より正確で効率よく消費者とメーカーを結び付ける。つまり、メーカーが消費トレンドやニーズをタイムリーに把握するよう手助けすることで、商品開発のためのコスト削減や時間短縮を実現するのが究極の狙いだ。

  親橙里モールがオープンしてから、淘宝心選は施設内で来客数と売上が最も高いテナントになっている。 親橙里の統計によると、オープン当日にオンラインとオフライン合計で2万件の商品を売り上げ、店内の商品は2時間で完売となった。

  昨今の中国の若年消費者層は、前の世代のように高級ブランドに夢中になったり、メンツのための消費はあまりしない傾向にある。生活の質を高める“実のある”消費が好まれるようになり、シンプルなデザインの人気が高まっている。

  この消費トレンドを見事に捉えて躍進した淘宝心選。これがすべてビッグデータから予測した“当然の”結果だったとしたら、これまで現場の「勘」や「経験」に頼ってきた小売・流通業の根底を覆(くつがえ)す衝撃的な事象として、後世に語り継がれるかもしれない。

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