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アリババ初の自社運営モール「親橙里」(10)
二次元産業の発展にも注力する淘宝
2018年10月5日

二次元愛好者からも注目の「次V殿」

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ロリータのインタラクティブ体験コーナー
  「次V殿」はECサイトの淘宝網(タオバオ)が設立した2つ目の二次元オフライン専門店だ。一般の二次元ショップと異なり、店内には淘宝網で集めたビッグデータの助けを借りて選考した二次元関連ショップの商品が並んでいる。

  アニメ関連や「萌」系グッズ、日用雑貨、フィギュアだけでなく、最近人気のロリータファッション、淘宝で生まれた新しい二次元グッズ、網紅(ワンホン ※ネットでクチコミ人気の)商品なども扱っている。

  300平方メートル近い店舗内には、商品販売コーナーのほか、スナック、舞台、ロリータのインタラクティブ体験コーナーなども設置。今後はさらにメイドカフェもオープンする計画という。

  次V殿の運営は、淘宝網(タオバオ)で人気の二次元ブランド「歪瓜出品」が担当。店内のテーマイベントや商品の配置も、同社がプランニング・実行している。

  親橙里モールが開業した「五一(5月1日の労働節)」の連休期間に、次V殿はポップアップストアの形式で4つのテーマ公演やイベントを開催。大食いチャンピオンの来店やロリータイベントがその一例だが、これらイベントは淘宝サイト(アプリ)内で実況中継され、多数の二次元愛好者の関心を引き付けた。

二次元産業の発展にも注力する淘宝

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「次V殿」で開催されたイベント等を淘宝アプリでライブ中継
  二次元は淘宝が2016年から重点を置く領域で、「淘宝二次元」なるジャンルも出現。戦略的に二次元産業の発展と推進を率先している。

  淘宝二次元では、淘宝上のすべての二次元関連ショップを動員し、オフラインで様々なインタラクティブ(双方向)イベントや展示会を開催。

  また、IPの正規版ライセンス授権により、商業化と同時に、IPの価値自体向上にも努めている。例えば、IPリソースを有するショップへのトラフィック誘導や、同人誌系の作家が正規IPライセンスを取得できるようサポートするなどだ。(※IPとは、Intellectual Property(知的財産)のことで、業界では漫画やアニメ、ゲームの版権(著作権)を指す。)

  次V殿のオープン前に、淘宝二次元は「中国国際動漫節」のイベント主催者と提携。「国際動漫遊戯商務大会(iABC)」内の「授権大会」などで協力を深めていくことで合意。

  今後、良質なIPを淘宝二次元のIPデータベースに集約 。IP所有者も淘宝を通して、オンラインでライセンスの一元管理ができるようになり、商品開発から販売、管理までワンストップで行えるようになる。

  淘宝内の小規模ショップも、正規ライセンスをスピーディに取得できるようになることで商品開発が活性化。消費者もより多くの正規版ライセンス商品を短期間に入手できるようになる。

  次V殿のショップには、すべての淘宝二次元ショップに出店の扉が開かれている。運営元は淘宝二次元のIPデータベースからショップを発掘。同データベースに登録されるには、オリジナリティとともに、ショップ自身に独特な商品があることが条件だ。

  今後、次V殿では「歪瓜出品」以外の運営者も募り、店内にポップアップストアの方式で、より多くの変化や“遊び”を取り入れていく予定という。

  2017年、中国政府・文化部が公布した「デジタル文化産業の新たな発展推進に関する指導意見」の中で、アニメ・ゲームがデジタル文化産業の重要部分であると明言している。二次元とその周辺市場は、政策で保護される新興領域であり、巨大な市場潜在力と価値を併せ持っている。

  こうした観点からも、二次元領域ですでに先行的優位に立っている淘宝の動向は要チェックだ。

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