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商業化が進む中国eスポーツ産業が急成長 (10)
大型スポーツイベントと並ぶeスポーツのスポンサー規模
2018年11月8日

大型スポーツイベントと並ぶeスポーツのスポンサー規模
全方位マーケティングがトレンドに

  中国では、eスポーツイベントの商業価値がますます注目されるようになるにつれ、多くの企業がスポンサーとして名乗りを上げている。

  スポンサー企業の業種もゲーム関連のみならず、自動車、スマホ、飲料・食品、コスメと幅広い。レノボやvivo、インテル、BMW、メルセデスベンツ、KFC(ケンタッキーフライドチキン)、スプライト、ロレアルなど著名ブランドが数多く含まれる。

  こうしたスポンサー企業の多様化は、すでに一般的なスポーツイベントと比べても遜色ない。企鵝智庫の調査によると、eスポーツを視聴する際に、受け入れられる広告の類型ではゲーム機器が最も多く(59.0%)、次いで電子製品(55.3%)、スポーツ・トレーニング関連(29.3%)と続いている。
(図23:eスポーツ観戦時に受け入れる広告類型)  

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  eスポーツイベント中に、視聴者が受け入れる広告方式としては、企業のロゴ・ポスターが最も多く、次いで冠スポンサーとなっている。 実況中にアナウンサーなどからの口頭による広告は人気が低く、16.7%にとどまった。

  イベントの実況中継や録画をオンラインで視聴することが多い視聴者は、試合に集中したいがために、こうした口頭広告は避けてほしいと考えているようだ。よって、ゲームやイベントの内容に沿った“嵌(は)め込み”型広告の方が望ましいと言えるだろう。(図24:eスポーツイベント中に受入れられる広告方式)
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  eスポーツイベントとより緊密に提携することで、全方位的にマーケティングを行う企業も登場している。台湾系大手食品メーカー 「統一企業」が手がけた、アイスティー飲料と「球球大作戦」との提携がその一例だ。

  提携の領域は、イベントのスポンサーシップから専属のパッケージデザイン、ゲーム内で「ツール」の一つに採用、特殊スキン、網紅(ワンホン ※ネット上のアイドルやインフルエンサー)によるテーマ曲歌唱、アプリ起動時や地下鉄での広告など、多岐にわたる。

  こうした全方位的なマーケティングにより、統一のアイスティーをゲーマーや視聴者に強くアピール、彼(彼女)らの購入意欲を高めるのが狙いだ。

  中国ネット調査大手iResearch(アイリサーチ)の統計によると、球球大作戦ユーザーの90%が、統一企業との提携を意識したと言い、そのうち94%が同社のアイスティーを購入したくなったと回答。また、ユーザー全体でも、57%が今回の広告に気づいたと回答している。

  さらに、ユーザーの絶対的多数が、このような業界の垣根を越えた広告の提携に対して支持を表明。ユーザー全体の65.4%が、機会があればこうした関連イベントに参加したいとし、また27.1%も時々は参加してみたいと回答している。

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