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“無印良品”風の「ノンブランド」が中国で大人気 (4)
ノンブランド人気爆発の背景は?新中間層は「里子消費」へシフト
2018年12月7日

ノンブランドの生産モデルは
ODMとC2Mが主流

 

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旅行・収納関連と家庭用品がノンブランドECの人気カテゴリ
  次に、運営モデルを見てみよう。網易厳選が採用する「ODM」(Original Design Manufacture:相手先ブランドによる設計・生産)と必要商城の「C2M」(Customer-to-Manufactory:顧客のイメージやニーズを商品に反映)の生産方式が、厳選型ECの二大モデルといえる。

  網易厳選のODMモデルの場合、サプライヤー各社から商品企画やデザインが提出された後、網易厳選による選抜が行われる。場合によっては、改良が加えられることもあり、その後、生産に至る。こうして世に出る商品には「網易厳選」のラベルが貼られる。
網易厳選の主な役割は、商品の買い付けと品質管理の2つだ。

  一方、C2Mの場合、まず消費者からのニーズをメーカーに伝え、需要に応じて生産を行う。サイト上で予約を受け付け、ユーザーが実際にオーダーした数だけ工場で生産する。

  つまり、全く在庫を生まないシステムだ。また、消費者とメーカーを直接結び付けることにより、中間コストを省き、高いコストパフォーマンスが実現できている。

  商品の品目別で見ると、ノンブランド系ECサイトが扱う商品には、家庭用品、リネン類、旅行・収納関連が多い。

  アパレルやパーソナルケア、デジタル電子製品などに比べ、これらジャンルの商品は、消費者のリピート率はそれほど高くない。またブランドよりも品質や実用性、そしてコストパフォーマンスが重視される傾向にある。

  一方、中国ではこれまで、家庭用雑貨のジャンルで有力なブランドが存在しなかった。これも「ノンブランド」が台頭する大きな要因となった。

 

ノンブランド人気爆発の背景は?
新中間層は「里子消費」へシフト

 

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コストパフォーマンスとおしゃれなデザインが、ノンブランドブームの核心となっている
  中国では中間層が拡大の一途を辿っている。彼(彼女)らは膨大な消費力を有し、消費観も以前とは異なる。価格にはそれほどこだわらず、むしろ品質やクラス感をより重視。格調や生活のクオリティの高さが、彼らを引き付ける大きな要素となっている。

  欧米や日本の過去の経済発展の経験から、1人当たりGDPが2.5万米ドルに達すると、ノンブランドブームが起きることが明らかになっている。日本における無印良品の成功も、まさにそのタイミングだった。

  現在、中国もちょうどその階段を上りつつある。若年消費者は、これまでのように高価な高級ブランドをやみくもに追いかけたり、メンツ(面子)のための消費はしなくなっている。

  見た目ではなく、質を重視する「里子消費」(※「里子」はメンツ(面子)の対義語で、内側の意)」に取って代わり、高品質でコストパフォーマンスに優れ、かつシンプルなモノが人気を集めるようになった。

   無印良品、ユニクロ、中国版100円ショップの名創優品(MINISO・メイソウ)などは、ブランドの“カラー”を全面に押し出さず、品質を強調したことで、若年消費者から高い評価を得た好例といえる。

  新中間層は、ノンブランドブームを支える主要な消費者層だ。

  低価格は人々から多くの注目を集めることができるが、もはや競争力の核心とはなりえない。今やコストパフォーマンスの高い「品質重視」型が、消費の主力スタイルとなっている。

  厳選型ECサイトが提供する高いコストパフォーマンスを誇る商品は、中間層の暮らしをより快適にし、生活から生まれるストレスや経済的プレッャーを軽減してくれる。

  シンプルでおしゃれな商品は、プチブル的満足感を与えてくれるだけでなく、格調や文芸ムードといった様々な効果も生むことができる。まさに人気の秘訣はここにあるのだ。

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