中国消費洞察オンライン〜中国ビジネスをマーケティング視点から再構築!


“無印良品”風の「ノンブランド」が中国で大人気 (8)
独自デザインや企画の商品にシフト
2018年12月14日

サプライヤーに有利な取引条件を提示

 yanuan_11.jpg
「網易厳選」は500社の工場のほか、ハンドメイド・アーティストとも提携
  現在、網易厳選が接触している工場の数は1500社あまり、提携を結んだ工場は500社に達する。これら工場は、全国24省130地区に分布。 なかでも浙江省と広東省の割合が特に高く、両省で全体の5割以上を占めている。

  良質なサプライヤーを確保すべく、網易厳選は「压款付息(品質保証金の利息を工場側に支払う)」方式を採用。中国では通常、ブランド企業とサプライヤー(下請け工場)が提携する際、支払いは「361方式」が採用されている。これはまず30%を前金、60%を出荷の際に、そして残りの10%を「品質保証金」として段階的に支払うのが慣例だ。

  しかし、ブランド側が最後の10%を支払わず、“ピンハネ”することも多い。品質保証金には利子も支払われないため、メーカーにとっては大きな資金圧力となっていた。

  そこで、資金力が豊富な網易厳選は、専門のファンドを設け、銀行の利率に基づいてすべてのサプライヤーに対して、品質保証金の利子支払いを決定。

  また、メーカーとの提携も、少なくとも3年から5年は継続するとした。これはサプライヤー側としても、精神的に大きな安心感が得られる措置となっている。

独自デザインや企画の商品にシフト

 IMG_7768.jpg
「網易厳選」独自デザインの「黒鳳梨」シリーズ
  また、著名ブランドの製造工場のみならず、ハンドメイド・アーティストとも提携し、味わいのある商品を提供。古くからの手法を守って生産される作品を扱うことで、非物質的文化遺産(無形文化財)であるハンドメイド技術の伝承にも力を入れている。

  17年からは海外でのメーカー発掘にも注力、商品の調達先の多元化が進んでいる。

  一方、「著名ブランドの生産工場」という謳い文句は、盗作やニセモノといった議論も呼び起こした。このため17年以降、網易厳選は自社デザインの商品の販売をスタート。国内外の10社あまりの著名デザイン会社と提携し、特色ある商品を発売、オリジナル商品も発表している。

  同社デザインチームは100名近くが所属。国内外から400名近い外部委託チームも加わり、消費者のニーズや網易厳選のブランドカラーに即したデザインを打ち出している。

  和風、北欧風、ニュークラシック、ニューチャイナなど、様々なテイストのデザインがメーカーに送られ、生産されている。

  なかでも代表的なのは、「黒鳳梨」(※広東語で「喜歓你(好きです)」と似た発音)シリーズ。ネックレス、スナック、ペアルック、インテリアグッズなどの
商品ラインナップは、愛情を表現するツールとして高い人気を集めている。

  網易厳選は現在、自らのポジショニングを「著名ブランド製造工場直送」から、「匠の精神」や「厳選された美学」へと転換しつつある。「センスの良さ」が、その重要な判断基準となっている。

Copyright (C) CAST Consulting Co., Ltd. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.
本資料に関する著作権は弊社又は弊社に所属する作成者に属するものであり、本資料の無断引用、無断変更、転写又は複写は固くお断りいたします    

 

このページをA4版で印刷する
 前のページに戻る

pageTop