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驚異的スピードで店舗網を拡大「ラッキンコーヒー」(1)
1年で1400店超オープン 新小売コーヒーが大躍進
2019年3月11日
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「最初の1杯無料」キャンペーンは大成功
  2018年の中国消費現場を最も盛り上げた新星(ニュースター)は、間違いなく「ラッキンコーヒー(Luckin Coffee・瑞幸咖啡)」だろう。

  ネットとリアルを融合したオムニチャネル概念の「新小売(ニューリテール)」を、コーヒービジネスに取り入れた先駆者的存在の地場系コーヒーチェーンブランド、ラッキンコーヒー。登場とともに驚くべき勢いで、一線・二線級都市のホワイトカラー層に浸透した。

  年初、オフィスビルやマンションなどあちこちのエレベーターで、「这一杯,誰不愛?(この1杯、嫌いな人いないよね?)」というラッキンコーヒーのキャッチコピーを目にするようになった。

  洗練されたイメージで人気の映画俳優、チャン・チェン(張震)とタン・ウェイ(湯唯)が、同社のコーヒーを手にして問いかけるこの広告は、ハイブランドなイメージを演出。大量の広告展開により、多くの人の好奇心を呼び起こした。

  ラッキンコーヒーの店舗を多く見かけるようになると同時に、スマートフォン(スマホ)SNSの微信(ウィーチャット)の朋友圏(モーメンツ)にも大量の広告投入が始まった。

  「最初の1杯無料」キャンペーンに惹かれ、多くのユーザーがアプリをダウンロード。無料のコーヒーを求めて最寄りの店舗に殺到、ある意味「社会現象」といっても過言ではない現象を生み出した。

1年で1400店超オープン
新小売コーヒーが大躍進

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全国21都市に1400店を展開、中国第二のコーヒーチェーンに
  ラッキンコーヒーは2018年1月にテスト営業を開始、その後5月8日に正式にオープンした。

  現在(18年10月末時点)、北京、上海、広州、西安、青島など全国21都市に1400店あまりを展開、瞬く間に中国国内第二のコーヒーチェーンに成長した。ラッキンコーヒーが登場する前に、中国のコーヒーチェーンの頂点に立っていたのはスターバックスコーヒーとコスタコーヒーだった。

  両社の店舗数は、現在それぞれ3200店と420店。ここまで来るのにスターバックスは19年、コスタは12年の時間を費やしている。これに比べて、ラッキンコーヒーの店舗網拡大は想像を絶するスピードで、常軌を逸しているといってもいいほどだ。

  出店スピードだけではない。ラッキンコーヒーがさらに注目に値するのは、同店の経営モデルが「新小売(ニューリテール)」をコンセプトにしている点だろう。

  スターバックスなど従来型のコーヒーショップが店内に座席を設け、コーヒーを楽しみながらくつろぐ空間を演出しているのに対し、ラッキンコーヒーは持ち帰りとネット出前(デリバリー)のみ。

  注文から決済、商品の配送・受取まですべてアプリ上で処理。ネットとリアルの融合を特徴とする「新小売」モデルを、そのまま体現している。商品、価格、利便性を最適化、コストパフォーマンスに優れた良質のコーヒーを手軽に楽しめるようにしたのが、その強みとなっている。

  以下では、この「新小売」モデルで注目のラッキンコーヒーについて具体的に見ていくことにしよう。

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