店舗形態の主流は持ち帰りに特化した「ピックアップ」 |
ラッキンコーヒーは「スピード」にも重点を置いている。ネット出前(デリバリー)と持ち帰りをメインにしているため、商品の鮮度を保ち、短時間で配送することが重要となる。このため、商業エリアへの出店は大きな鍵といえる。
当初、ラッキンコーヒーは3つの異なる立地と形式の店舗でテスト営業を実施した。北京のラッキンコーヒー本部ビルのロビー、銀河SOHO、そして望京SOHOだ。
本部ビルロビーでのテスト営業は、主に内部の従業員を対象とした。消費の傾向や習慣、リピート率、価格敏感度などについてデータを収集。こうしたデータを元に、価格や優待金額を調整し、その効果を測定した。
望京SOHOは繁華街に位置し、人出が多い。ここでは主にアプリのCVR(コンバージョン率)と新規顧客獲得までの速度を測定。
銀河SOHOは郊外に位置し、人もやや少ない場所にある。ここでは主に微信(ウィーチャット)の LBS 広告の効果を測定した。隣のテナントは、庶民的な重慶麺(ラーメン)のお店だった。
隣にコーヒーショップがオープンしたことを知った店主は、同社に同情すら感じていたという。自分の店も客が多いとはいえず、コーヒーを買う客などなおさらいないと思ったためだ。しかし3か月後、ラッキンコーヒーの売上は1日1500杯にも上った。
ラッキンコーヒーは、テスト運営の段階で北京、上海、深圳など13都市に525店をオープンさせ、累計約300万件のオーダーを獲得した。販売したコーヒーは約500万杯に上り、利用した人の数は130万人に達した。
現在(2018年10月末時点)、店舗数は1400店を超え、月300~350店のペースで出店。18年末には2000店を突破すると見込んでいる。