中国消費洞察オンライン〜中国ビジネスをマーケティング視点から再構築!


驚異的スピードで店舗網を拡大「ラッキンコーヒー」(6)
毎月300店の出店ペース 店舗は商業エリアに集中
2019年3月19日
毎月300店の出店ペース 店舗は商業エリアに集中

IMG_0593.jpg
店舗形態の主流は持ち帰りに特化した「ピックアップ」
  ラッキンコーヒーは「スピード」にも重点を置いている。ネット出前(デリバリー)と持ち帰りをメインにしているため、商品の鮮度を保ち、短時間で配送することが重要となる。このため、商業エリアへの出店は大きな鍵といえる。

  当初、ラッキンコーヒーは3つの異なる立地と形式の店舗でテスト営業を実施した。北京のラッキンコーヒー本部ビルのロビー、銀河SOHO、そして望京SOHOだ。

  本部ビルロビーでのテスト営業は、主に内部の従業員を対象とした。消費の傾向や習慣、リピート率、価格敏感度などについてデータを収集。こうしたデータを元に、価格や優待金額を調整し、その効果を測定した。

  望京SOHOは繁華街に位置し、人出が多い。ここでは主にアプリのCVR(コンバージョン率)と新規顧客獲得までの速度を測定。

  銀河SOHOは郊外に位置し、人もやや少ない場所にある。ここでは主に微信(ウィーチャット)の LBS 広告の効果を測定した。隣のテナントは、庶民的な重慶麺(ラーメン)のお店だった。

  隣にコーヒーショップがオープンしたことを知った店主は、同社に同情すら感じていたという。自分の店も客が多いとはいえず、コーヒーを買う客などなおさらいないと思ったためだ。しかし3か月後、ラッキンコーヒーの売上は1日1500杯にも上った。

  ラッキンコーヒーは、テスト運営の段階で北京、上海、深圳など13都市に525店をオープンさせ、累計約300万件のオーダーを獲得した。販売したコーヒーは約500万杯に上り、利用した人の数は130万人に達した。

  現在(2018年10月末時点)、店舗数は1400店を超え、月300~350店のペースで出店。18年末には2000店を突破すると見込んでいる。

シーンごとに4タイプを用意  全方位型の消費に対応

  2018年5月、ラッキンコーヒーは「無限情景(Any Moment)」戦略の展開を宣言した。様々なニーズに合わせて異なるタイプの店舗をオープン。店内消費、持ち帰り、配達の各モデルを組み合わせることで、全方位型の消費に対応するとした。

  現在の店舗は4つのタイプに分類できる。オフラインの社交ニーズを満たす「エリート(旗艦店)」と「リラックス」、ビジネスマンニーズに対応し、持ち帰りに特化した「ピックアップ」、そしてネット出前ニーズを専門に処理する「キッチン」だ。

  現在、絶対的な主流を占めるのは、ピックアップとキッチン型。この2タイプは多くがオフィスビルの一角やコンビニの中に位置し、自己主張は控えめだ。まずは店舗を増やし、顧客が気軽にコーヒーを買えるようにすることを目指している。

  一定の市場規模を確保した後は、旗艦店やリラックス型をオープンさせ、スターバックスなど従来型コーヒーチェーン店との“ガチンコ”勝負を目論む。

このページをA4版で印刷する
 前のページに戻る

pageTop