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2018年中国消費トレンド番付 (1)
消費昇級と降級の交差から新たな潮流が登場
2019年5月21日
  2018年、中国経済について「景気停滞」や「消費の伸び悩み」など、ネガティブな印象を持つ人が多かったのではないだろうか。

  一方、ネットとリアルを融合したオムニチャネル概念「新小売(ニューリテール)」や、値段が高くてもより良いモノを求める「消費昇級(アップグレード)」トレンドの下、消費現場には新たな流行もいくつか誕生した。

ネット(スマホ)化進む中国消費
あらゆる生活シーンにスマホが

  まずは、統計データを元に2018年の中国の社会情勢と消費市場を振り返ってみよう。

  中国互聯網絡信息中心(CNNIC)が公表した「中国インターネット発展状況統計報告」によると、18年6月末時点における中国のネットユーザー数は8億人に達している。うち、スマートフォン(スマホ)ユーザーは7.88億人。

  スマホでネットを利用する人の割合は、17年末の96.3%から98.3%へと更に上昇した。ほぼ全てのネットユーザーがスマホを利用しているといっても過言ではない。

  スマホやモバイル通信は中国人の生活に欠かせないものとなっている。スマホ上で指を滑らせるだけで、ほぼすべてのモノが手に入り、家事代行やネイルなど様々な生活サービスも予約できる。ゲームや娯楽は言うまでもない。

  モバイル(スマホ)決済の普及に伴い、中国の都市部では現金を使用する機会が激減している。

  「中国インターネット発展状況統計報告」によると、18年6月末時点におけるスマホ決済利用者の数は5.66億人で、スマホユーザー全体の72%に達している。オフラインでの消費の際にスマホ決済を利用する人の数は68%、都市部のネットユーザーに限定すると更に高く、72%だ。

  オフラインでのスマホ決済利用者のうち、微信支付(ウィーチャットペイ)と支付宝(アリペイ)の利用者の割合はそれぞれ95.6%と78.1%。中国銀聯(チャイナユニオンペイ)が運営する決済アプリ「雲閃付」も、NFC(近距離無線通信)やQRコードなど様々な支払方法が選択できることもあり、利用者の割合が増えつつある。

  ネット通販市場の成長率は緩やかになりつつあるが、中国消費者のネット通販への情熱は衰えていない。

  国家統計局によると、18年1~11月期のネット小売総額は8兆689億元。前年比24.1%の増加だった。なかでも、実物商品の売上は6兆2710億元で、前年比25.4%増となり、社会消費品小売総額(小売全体)の18.2%を占めた。

  18年11月11日の「双11(独身の日)」セールでは、中国のネット通販最大手のアリババ系天猫(Tモール)の取引高が前年比27%増の2135億元(約3兆5000億円)を記録。これは、楽天が日本で17年に取り扱った総額約3兆3900億円をわずか1日で上回ったことになる。

  京東(JDドットコム)や蘇寧(スニン)など他のECプラットフォーム含むネット全体の取引高は3143億元で、前年比23.8%増だった。毎年驚愕的な売上を記録する「双11」セールだが、18年も高い成長率となった。

  シェアリングサービスを利用した「外出」の市場も成長を続けている。18年上半期、シェア自転車、配車アプリによるタクシー、シェアライド(ハイヤー)予約利用者の割合はそれぞれ30.6%、43.2%、37.3%。ユーザー規模は17年末比でそれぞれ11.0%、20.8%、26.5%増だった。

  17年には多くの企業が新規参入したシェア自転車も、モバイク(mobike)とオッフォ(ofo)の二強に絞られた感が否めないが、モバイクはグループ購入大手の美団に買収され、オッフォは深刻な経営危機に陥っている。シェア自転車市場は、19年も淘汰や再編が続くと予想される。

  ネット出前アプリは、18年も前年の勢いを継承した。モバイル通信を専門とする第三者データ研究機関である艾媒諮詢(iiMedia Research)は、「2018年第3四半期 中国ネット出前市場四半期観測報告」で、17年のネット出前市場の規模は2052.7億元。18年には2400億元を超えると見込んでいる。ユーザーの若年化が進み、「ミレニアム世代」が消費の主力になりつつあるという。

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