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個性化と多様化が進む中国フィットネス業界 (1)
スマホ介した「スマートジム」が今後の主流に?
2019年6月27日
  健康意識の高まりに伴い、中国で日常的に運動する人が増えている。健康維持やフィットネスの目的のみならず、社交やストレス軽減も現代人をスポーツジムやフィットネスクラブに足を運ばせている大きな理由の一つだ。

  フィットネスやトレーニングは、中国においてすでに大きなトレンドにもなっている。「逆三角形ボディ」や人魚を思わせるようなシルエットの「マーメイドライン」を持つことは多くの人の夢だ。

  直接装着することが可能なウェアラブル機器や、専門性の高いスポーツウェアとシューズの人気も高まっている。結果がどうであれ、格好や見た目だけは負けられないというわけだ。

  スマートフォン(スマホ)SNSの微信(ウィーチャット)の朋友圏(モーメンツ)に、自身の鍛え上げた姿をシェアする人も増えている。

  フィットネス・トレーニング人口の増加に伴い、フィットネス業界の熱も高まっている。従来型のスポーツジムのみならず、ここ数年、急速に普及の進んでいる「スマートジム」も注目に値する。楽刻健身、Liking fitなどはその代表的存在だ。

  微信でQRコードを読み込み、アプリをダウンロード。ユーザー登録の後、希望のコースの費用を支払うのみ。年会費などを払わなくても会員になれる仕組みだ。

  フィットネス産業の発展は、投資ファンドからも高い注目を浴びている。巨額の融資を得た新興のスマートジムも少なくない。

  以下では、中国のスポーツジムやフィットネスクラブ業界の発展状況と今後のトレンドについて詳細に見ていくことにしよう。

中国フィットネス市場規模と概況
15年に人数と店舗数が急増

  人々の健康意識の高まりとともに、スポーツジムやフィットネスクラブのビジネスモデルの進化に伴い、中国のフィットネス産業が急発展を遂げている。

  中国市場調査「中商産業信息網」サイトの統計データによると、2017年、習慣的に何らかのフィットネス・トレーニングを行っている人の数は、中国全土で5.5億人、全人口の41.3%前後に達したという。膨らむフィットネス・トレーニング人口は、同業界に巨大なニーズを生み出している。(図1:習慣的にフィットネス・トレーニングしている人の数 )
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  2017年、中国のフィットネス産業の総生産高は約1500億元だった。過去6年間の年平均成長率は7.7%に達しているもよう。(図2:2012~17年 中国フィットネス産業の総生産高)
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  健康産業の興隆は、より良いモノ(サービス)を求める「消費昇級(アップグレード)」トレンドの産物でもある。物質的満足が満たされた後、人々の関心はより健康で美しい身体を得ることへと向かっている。

  健康を気にする人の増加に伴い、中国国内のフィットネスクラブの数も増加の一途を辿っている。2010年に3245ヵ所だったフィットネスクラブは、17年には5000ヵ所以上にまで増加した。

  2011年から13年にかけて、フィットネス・トレーニング市場は競争過剰により一度閉店ブームが起きている。しかしその後、フィットネス人口の急増、専門コーチやパーソナルトレーナーの需要増に伴い、新たなブームを迎え、フィットネスクラブの数も再び増加に転じた。その結果、2018年のフィットネスクラブの数は、5861ヵ所になることが見込まれている。(図3:2010~18年 中国のフィットネスクラブの数及び増加率)
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