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【第377回】 スマホ普及がクルマのネット化後押し
中国で拡大するコネクテッドカー市場
2019年7月17日
中国ではスマホをベースとしたテレマティクスが主流に
中国ではスマホをベースとしたテレマティクスが主流に
 タクシー配車やシェアライド、自動運転など、クルマのネット化が進む自動車業界。日本ではトヨタとソフトバンクが提携するなど業界の垣根を越えた取り組みが増えつつあります。中国でも官民挙げて「コネクテッド(テレマティクス)」カーの産業振興に邁進しています。

 中国では前述の通り、ほぼ全てのドライバーがカーナビにはスマートフォン(スマオ)の地図(ナビ)アプリを利用。最近のモデルでは大型液晶画面の付いた車載のテレマティクスが搭載されていますが、ナビだけは皆スマホを使っているようです。そういう意味では、中国で走っているクルマは、すでにスマホを介してネットに「コネクテッド(接続)」されているとも言えるでしょう。

 スマホと連動したテレマティクスのタイプも多く、スマホで使い慣れた音楽や動画アプリもそのまま車内で楽しむことができるようになっています。こうしたテレマティクスは自動車メーカー各社が独自開発するパターンもありますが、ここでも強大な存在感を示しているのが、百度やアリババなどネット大手です。

 特にアリババは2015年7月に上海汽車と合弁で「斑馬網路」社を設立。IoT基盤の「AliOS」をベースとしたスマート運転システム「斑馬」を発表、上海汽車傘下の栄威(Roewe)や名爵(MG)だけでなく、仏プジョーやシトロエン、米フォードなどと提携してコネクテッドカーをリリースしています。

 また、プレインストール版だけでなく、外付けのテレマティクスシステムもメーカーと協働して販売しています。先日たまたま乗車したシェアライドのフォード車。大画面のテレマティクスを後付けで組み込んだとのことで、取り付け費用込みで2000元程度と破格の値段。待ち時間などにスマホにダウンロードした動画を大画面に投射して楽しんでいるとドライバーは言っていました。

 決済についても、基本はスマホ経由。スマホ決済2強のアリババ系「支付宝(アリペイ)」とテンセント系「微信之付(ウィーチャットペイ)」が圧倒的優位となっています。中国ではどの都市でもほとんどの駐車場がETCP(Electronic Toll Collection System:電子料金収受システム)化されており、ナンバープレート識別からスマホで事前に支払いが当たり前になりつつあります。

 地下鉄やバスのほか、高速道路の料金所にもこうしたスマホ決済が普及されつつあり、今後はガソリンスタンドなどにも導入されていきそうです。
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