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“意外”な発展ぶりのウルムチ消費現場 (14)
一带一路の中継都市として 一挙通関で港から直接海外へ
2019年8月6日
一带一路の中継都市として
一挙通関で港から直接海外へ

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2016年5月に開通した「中欧列車」
  ウルムチは中国の一帯一路政策のシルクロード経済ベルトの中心都市 であり、西側諸国への窓口、交通や物流のハブの役割も果たしている。

  物流や貨物中継を促進すべく、ウルムチは経済技術開発区に国際陸港区を設置。区内は火車(汽車)西駅、火車(汽車)北駅、ウルムチ鉄路コンテナ中心駅、国際空港で構成される。また鉄道口岸(出入国検査場)サービスセンター、聯運税関監督管理センター、中欧列車新疆(ウルムチ)集結センター、鉄道国際速達取引センターの4つも設置している。

  中欧国際貨物輸送列車は2016年5月に開通。 この列車により貨物をヨーロッパに運ぶ時間が海運よりも1ヶ月近く、従来の鉄道輸送よりも10日前後短縮され、約20%のコスト減が実現した。2年という短期間で、ウルムチ集結センターを発車する列車は週1便から1日3便へと増えた。

  現在、中欧列車の路線はすでに19路線あり、中央アジア5カ国、イラン、ロシア、トルコ、ドイツ、スペインなど17カ国24都市に達している。中欧列車集结センターは200社以上の輸出入企業と提携。輸送貨物の品目も、当初の日用雑貨やアパレル製品などから、機械設備、水暖房材料、電子部品など200種以上に増えている。

  中国国内から集まる貨物が全体の60%を占め、広東、浙江、四川、北京、上海など10以上の省・市と結ばれている。

  中欧列車の便数が増えるのに伴い、ウルムチ税関、検疫検査部門なども集結センターに総合検査ロビーを開設。貨物の通関効率向上に努めている 。

  ウルムチ国際陸港区も、鉄道と海運を連携した輸送に取り組み、新疆ウイグルと沿岸港の「シームレス」な接続を実現している。現在、連雲港、青島、天津など東部の沿岸の港と戦略提携協議を締結。ウルムチで通関や検査を終えれば、すでに港湾での積荷ゲートまで着いたのと同じ扱いとなる仕組みだ。

  貨物が港に着いた際、再度通関や検査を受けることなく直接船に積荷することが可能だ。これにより少なくとも輸送時間が3日は短縮されたという。ウルムチ陸港区は、集荷から通関、納税までをワンストップで完了できるプラットフォーム的な役割を担い、輸送効率の大幅アップにも貢献している。

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ウルムチはオープンな国際都市へと飛躍を遂げつつある
  2018年、新疆ウイグルと「一带一路」構想ルートの沿線36カ国との貿易総額は2915.4億人民元に達し、前年比13.5%の伸びを記録した。これは同時に新疆ウイグルから輸出入された貿易総額の98.2%に相当する。なかでも取引が最も多かったのはカザフスタンとロシアだった。

  国内の輸出入貨物が集結するに伴い、ウルムチは単なる内陸都市から全国に影響力を及ぼすオープンな国際都市へと飛躍を遂げつつある。

  今後、上海や寧波の港との提携も予定されており、実現すればより多くの鉄道・海運連絡路線が生まれることになる。海のシルクロードと陸のシルクロードが結ばれれば、その中心的作用はさらに大きなものとなるだろう。

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