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世界も認めるアリババ「新小売」大解剖 (3)
「盒馬鮮生」+「淘鮮達」 従来型スーパーを「盒馬」化
2019年8月12日
「盒馬鮮生」+「淘鮮達」
従来型スーパーを「盒馬」化

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総合スーパーの大潤発(RTマート)にも「盒馬鮮生」のベルトコンベアを導入
盒馬鮮生(フーマー)の成功後、アリババは「天猫超市」傘下の配送サービス「淘鮮達」 に加え、従来型スーパーの業態を「盒馬モデル」へと変更させる取り組みを開始した。

  淘鮮達はオンラインで注文した生鮮食品を、1時間以内に配達する「新小売」型サービス。盒馬と同様に、オンラインとオフラインを融合し、支払いはスマートフォン(スマホ)決済の支付宝(アリペイ)を使用する。

  異なるのは、淘鮮達がスマホの淘宝(タオバオ)アプリからオンラインで注文を受け付け、店舗から消費者まで商品を届けることに加え、店舗の商品調達から在庫管理に至るサプライチェーンの構築や、集荷プロセス改善などの各種ソリューションを提供している点だ。

  現在、淘鮮達は269都市でサービスを開始。実店舗型スーパー660店の改造が完了済みだ。対象となったスーパーは大潤発、欧尚(オーシャン)、新華都超市、人本超市、三江購物、順客隆超市、中百超市、慶客隆、旺中旺など。

  外資系最大手の大潤発(RTマート)を例にとろう。アリババからの出資を受け、2018年6月時点で「新小売」業態への転換店舗が100店に達した。

  注文は淘鮮達で受け付け、店舗にはデジタル化された管理システムを導入。店内では盒馬(フーマー)特有の商品陳列のほかに、ピックアップ商品を運ぶベルトコンベアが天井に張り巡らされている。

  大潤発の店舗から半径3キロメートル内であれば、スマホの淘宝アプリ内の淘鮮達から注文が可能だ。 淘鮮達が受けた注文商品は、盒馬が大潤発のために築した配送システムにより、1時間以内に配送される。

  大潤発が公開したデータによると、運営開始から3ヶ月以上経つ淘鮮達の店舗では、1店舗当たりの1日の新規注文件数が1200件を超え、月の売上も10%以上増加。1店舗当たりの累計新規若年顧客数は2万人を突破。2019年内にはさらに全国で400近くの店舗を「盒馬モデル」へ改造する計画という。

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大潤発(RTマート)は「盒馬鮮生」のPBブランド「日日鮮」シリーズを販売
  大潤発は、盒馬の独自ブランド(PB)商品である「日日鮮」シリーズも販売。 月曜日から日曜日まで日ごとに異なる色でパッケージされている日日鮮シリーズ。

  その食材や食品は当日中に売り切らなければならないのがルールとなっていることから、発注に対する要求は極めて高い。大潤発と盒馬はサプライチェーンと商品を共有することで、大潤発の発注数の予測精度を高めている。

  このほか、天猫の人気商品や「淘郷甜」の優良農産物(※淘郷甜は農村淘宝の農産物ブランドで、商品の多くは国や省指定の貧困地区産の農産物)の販売も開始した。

  天猫の人気商品販売には、顧客層の若年化を図ると同時に、ECユーザーに実店舗でもネットと同じショッピング体験をしてもらうという狙いもある。
これまで中国全土で展開してきた実店舗での経験のほか、サプライチェーン網やシステムも大いに力を発揮している。

  2019年には盒馬鮮生と共同で海南省と東北三省(遼寧、吉林、黒竜江省)にも進出。

  同じく両社共同で高級生鮮食品スーパー「盒小馬」の運営も開始。大潤発が調達と店舗の運営管理を担当。すでに全国で11店を構え、主に二線級以下の都市を中心に展開している。

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