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2019年中国消費トレンド動向10選 (1)
トレンド①~ 自分回帰
2019年8月26日
内的満足の追求がますます顕著に
2019年中国消費トレンド動向10選

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無添加の「無漂白紙」が人気
  2018年の中国GDPに対する消費の貢献度は76.2%に達し、経済発展の主要な牽引役となった。 消費者の情報収集力がますます高まり、消費の構造も変化し続けている。

  中国消費者の消費傾向は、住まい、健康、カルチャー、エンタメ、旅行、教育、情報などのジャンルにより重きが置かれるようになっている。 生活のクオリティを重視し、趣味に投資する人も増えている。

 所得の上昇に伴い、人々のライフスタイルも変化しつつある。価格への敏感度は減少し、商品やサービスの質、安全性、機能性へのニーズが高まっている。ブランドや商品を選ぶ際にも、環境保護、クオリティ、健康などを考慮する人が増えている。

 科学技術のイノベーションが進み、モバイル決済、無人スーパー、スマートホーム、ネット出前アプリなどが消費者の日常生活に深く浸透している。人工知能 (AI)やビッグデータの発展に伴い、オンラインとオフラインを融合した「新小売(ニューリテール)」が成長のキーワードとなっている。
このような状況を背景に、2019年に注目を集めると予想される消費トレンドについて、以下考察していきたい。

トレンド①
自分回帰

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簡約風のライフスタイルブランド「NOME」
 改革開放政策を機に経済の急成長を経て、爆買いやブランド信仰といった「見栄」のための消費段階を経た中国消費者は、等身大で、自分に本当に必要なモノを求める消費へと回帰しつつある。シンプルで快適、安心、健康的な商品が人気を集めている。

 環境に優しい商品や、持続可能な消費が支持されるようになり、シンプルながら機能的なライフスタイルがトレンドとなっている。

 いち早くこのトレンドに反応したのは日用品業界だ。自然回帰や無添加を謳う商品が相次いで発売された。

 ティッシュペーパーメーカー各社は、天然パルプを使用し、科学薬品無添加の「無漂白紙」を販売。 大手の恒安紙業が「心相印」ブランドでリリースした「竹兀」シリーズは、価格が一般の商品よりも2〜3割高いにもかかわらず、広く支持を集めている。

 無添加ヨーグルトの人気も高く、飼料大手の新希望傘下の朴誠乳業「簡愛」ブランドの「裸酸奶」シリーズは、「生牛乳和乳酸菌、其他没了! (生乳と乳酸菌のみ、その他は何もない!)」をキャッチフレーズに大々的に販売されている。

 シンプルさを身上とするブランドの台頭も、このトレンド下で生まれたものだ。電子商取引(EC)プラットフォーム「網易厳選」、「淘宝心選」、「京東京造」や、オフラインの「名創優品(MINISO)」や「NOME」などはその代表格。 中間層の若い消費者を中心に高い人気を誇っている。

 ショート動画アプリ「vlog」は、ライフスタイルを記録し、個性を主張するメディアとして若者の支持を得ている。かつて流行した修正機能付きのショート動画アプリと異なり、リアルな生活を反映した動画コンテンツが人気の理由だ。人気女優の欧陽娜娜が留学時の生活をvlog上で記した記事は多くのフォロワーを生んだ 。

 こうしたトレンドに追随し、シンプルなデザインと機能重視の商品を発売する企業は今も増え続けている。

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