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天猫中心に急成長、中国コスメ市場 (1)
天猫が生む驚異的な販売量 大手各社も続々と天猫出店
2019年9月9日

 

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天猫が主導する「双11(11月11日・独身の日)」セールはコスメブランドにとって最大のイベントに
監査法人のPwCが公表したデータによると、2012年から17年の6年間における世界のコスメ市場の年平均成長率は3.9%だったが、中国市場の成長はこれを大幅に上回ったという。また ユーロモニターの統計によると、13年から17年、中国コスメ業界の年平均成長率は10.6%に達しているもよう。

  大手コスメブランドの財務データでも、中国市場の成長が他国を大きく上回っていることがわかる。LG生活健康集団は18年第4四半期に、海外市場で前年比47%の成長を記録したが、中国市場の数値はこれよりもさらに7%も高かったという。

  資生堂の中国市場での業績は前年比32.3%の伸びを記録、売上は1908億円に達した。 ロレアルも中国市場の売上が世界全体を大きく上回り、33%の成長を示した。傘下のランコム、ヘレナルビンスタイン、ロレアル・メンにとっても中国は最大の市場となっているもようだ。

  販売チャネルを見てみよう。

  中国では電子商取引(EC)チャネルが、コスメ市場最大の販売チャネルに成長した。2018年にはオンラインの売上が市場全体の約30%に達している。国内最大のECプラットフォームであるアリババ系天猫(Tモール)は、コスメ商品の売上に絶対的な影響力を持つ。

  ロレアルを例にとると、2018年の中国での売上のうち約35%がECチャネルの売上であり、その最大の功績は天猫が主導する「双11(11月11日・独身の日)」セールでのプロモーションの成功にある。

 

天猫が生む驚異的な販売量
大手各社も続々と天猫出店

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オレイ(Olay)など国際ブランドは天猫での売り上げも絶好調
  アリババが公表したデータによると、2008年から現在までの約10年間に天猫でコスメ商品を購入した人の数は累計で3億人を超えているという。

  P&Gの天猫での売上は、ここ10年で1000倍に成長。新規の国産ブランド「ホームフェイシャルプロ(Home Facial Pro)」は、ブランド発表から3年で、年間売上5億元を達成。同じく国産の「完美日記(Perfect Diary)」も、2年で天猫での累計フォロワー数が500万人に達している。

  18年に天猫のコスメ商品の売上の伸びは60%に到達。エスティローダー、ランコム、オレイ(Olay)、ロレアル、SK-Ⅱなど大手は、いずれも年間売上10億元を突破。 「双11」セールでは、多くのコスメブランドが1日で売上1億元を達成した。

  これらの輝かしい記録により、天猫は各大手化粧品ブランドが財務報告書中に頻繁に取り上げる存在となった。

  最近では、エスティローダーとロレアルの財務報告書中に天猫が登場。エスティローダーグループのCEOは、2019年度の第2四半期の投資者アナリスト会議の席上で、「2018年、さらに多くの天猫ユーザーがMACに興味を持つようになった。MACは天猫のトップコスメブランドに成長。 エスティローダーグループの高級コスメブランドにおいてもナンバー2に成長した」と述べている。

  強大な販売力を目当てに、天猫への進出を果たしたコスメブランドは2018年に、2000社近くに達した。

  世界最大の高級ブランド品グループLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)傘下のジバンシーのほか、ロレアル傘下の高級コスメブランド「イブサンローラン」と「アルマーニ」はその一例だ。

  さらに最近ではトムフォード、東方季道(P&G)、グラムグロウ(GLAMGLOW)、@cosme(アットコスメ)、スタイルナンダ3CE、アトリエコロン、プリメラ、dプログラム(資生堂)、バーネンゲンなどの海外ブランドも19年の天猫出店を決定している。

 

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