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大亀浩介の中国ビジネスコンサルタントの眼
名誉ある「ローカルブランド化」、西安で見たTOTOの底力
2011年12月20日

 名誉ある「ローカルブランド化」、西安で見たTOTOの底力
陜西省歴史博物館内のトイレは「TOTO」

 先日、西安に出張する機会があり、土日を利用して観光することにしました。西安はちょうど6年前に、「島耕作」で有名な漫画家・弘兼憲史先生の取材旅行のアテンド以来で、当時はいわゆる中国内陸の歴史情緒溢れる長閑な古都のイメージでしたが、それからの都市としての発展、変貌ぶりにびっくりしました。

 今回の出張はちょうど「世界園芸万博」が終了したタイミングでもあったのですが、近代的な都市整備が進み、至るところにデパートやショッピングセンターが建てられ、西安の急成長する消費パワーを感じることができました。特に6年前には周りにほとんどなにもなかった大雁塔【1】も、いまやレストランやショップで囲まれ、塔の前では大規模な噴水ショー毎日催され、多くの観光客や地元の人々で賑わっていました。

 そんななか、大雁塔の近くにある陜西省歴史博物館【2】に行き、兵馬俑や「周」「漢」「唐」時代の出土品などを間近に観覧したのだが、その博物館のトイレに入ると、なんと便器やハンドドライヤーに「TOTO」が採用されていました。この中国の内陸の奥地、特に陜西省政府が運営する公共の博物館内に日本製の「TOTO」が採用されていることに驚くとともに、日本メーカーの底力に感動したものです。

 さて、この「TOTO」ですが、私の周りの中国人何人かに「便器メーカーで知っているブランド教えて?」と聞くと、大体「うーん。TOTOくらいかなあ??」という答えが返ってきます。また「TOTO」の便器は若干高級感があり、ハイエンドのブランドというイメージも持っているようです。またさらにこの「TOTO」のすごいところは、「実はTOTOって日本のメーカーなんだよ!」というと「うそ?ずっと中国のメーカーと思っていた・・・」という返答がくるのだが、これはいかに中国へのローカライズが成功しているかを証明している証拠といえます。

 そこで、この「TOTO」ですが、「中国市場與媒体研究CMMS(2008)」によると2009年1月時点でのバス及びトイレタリーブランドのマーケットシェア、消費者のイメージランキング、購入場所、情報収集ルートのデータが見つかりました。下記、ご参考までに。


【図1】 主要バス・トイレタリーブランドのマーケットシェア
【図1】 主要バス・トイレタリーブランドのマーケットシェア


【図2】 消費者にとって理想的なバス・トイレタリーブランド
【図2】 消費者にとって理想的なバス・トイレタリーブランド


【図3】 バス・トイレタリーの購入場所
【図3】 バス・トイレタリーの購入場所


 【図4】 情報収集ルート
【図4】 情報収集ルート


【1】大雁塔は唐の皇帝高宗が立てた仏教寺院である慈恩寺の院内にあり、高さは64メートル、最上階から西安を展望できる。小説「西遊記」の三蔵法師のモデルと言われる玄奘の銅像もあり、彼がインドから持ち帰った経典が保存されている。
【2】中国文化の源である西安を中心に陝西省各地の出土品を収蔵している歴史博物館。1991年開館。入場料は無料だが1日の入場者数を制限しているので、午前と午後の開館時間前に列に並ぶ必要がある。

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