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二線級都市へ昇進、急成長続く「貴州省・貴陽」(9)
【花果園エリア】 旧市街再開発で欧風の町並みに
2019年10月25日
【花果園エリア】
旧市街再開発で欧風の町並みに

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花果園の中心エリアにある湿地公園
  南明区に位置する「花果園」は、貴陽でも特殊な存在だ。市内の花溪大道を花果園に向かう道は、人々に大きなサプライズを与えてくれる。

  背の低い昔ながらの住宅が並ぶ通りに突如、雲に届くかのような高層ビルが現れ、香港にいるかのような錯覚に陥る。花果園の佇まいは、周辺の旧市街区と際立ったコントラストを生んでいる。

  花果園は全国最大規模の旧市街区再建プロジェクトだ。総投資額は1000億元、占有面積6000ムー(畝:=666.7平方メートル)、総建築面積1830万平方メートル。貴州のディベロッパーである宏立城集団の開発・運営。

  7年前までは古びた居住区だったこのエリアが、住宅及びオフィスビル、文化・アート、エコツーリズム、レジャー、ショッピングなどが一体化した大型都市商業コンプレックスに生まれ変わった。

  花果園最大の特色は、中心エリアに位置する16万平方メートルの湿地公園。 周りの喧騒と切り離されたくつろぎの空間で、附近の住民や来場者の憩いの場として散歩、運動、犬の散歩などをする人で賑わっている。

  湿地公園の周囲には貴陽で最も高いツインタワー(地上350メートル)や多数のオフィスビル、タワーマンションがそびえる 。自然と都市のコントラストは見事というしかない。

  公園の脇には純白のヨーロッパ風建築の建物が佇んでいる。ディベロッパーの私有財産であり対外開放されていないが、湿地に映り込む姿やライトアップされる様子は大変美しく、貴陽の新しいランドマークとして話題を呼んでいる。

  湿地公園の隣にあるのが「花果園購物中心」。 2012年開業、貴陽初のオープンエア型のショッピングモールだ。

  湿地公園と一体化したこのモールは、飲食店比が4割を超える。胡桃里音楽餐厅、猫山王咖啡、宜北町(CreaTea)、Café Beneなどのカフェが並び、広々とした通りが心地よい。人気レストランチェーンの絲恋もあり、オープン前から長い行列ができている。

  小売店は中級ブランドが主体で、付近の住人や一般大衆がターゲットであることがわかる。アパレルやコスメ店が多いが、ソニーのデジタル製品体験店もあった。

  貴陽瞬時泰商業管理公司が公表した「貴陽商業発展報告」によると、花果園は2018年、貴陽市の商業施設で第8位にランクインしている。

  2018年時点における花果園の居住者数は40万人。進出企業数は6330社超、出店は1万3000店に達している。1日のバス利用者数は36万人、車両通過台数は31万台、1日の人の流れは100万人に及んでいる。

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快速バスBRTシステムも花果園を通過
  2017年の貴陽市の社会消費品小売総額(小売全体)は1335億元だったが、花果園が生み出す日常消費は243億元にも達し、貴陽市の消費総額の五分の一を占めている。

  花果園は貴陽の噴水池、大十字といった商圏から車で5分ほどの距離にある。快速バスBRTシステムも花果園を通過。 計画中の地下鉄3号線と4号線の開通により、花果園商圏の人の流れは、さらなる増加が見込まれている。

  2019年には中高級路線の海豚広場のほか、花果園購物中心二期、貴陽街、蘭花広場などの商業施設も相次いでオープンする。花果園エリアの影響力は今後も高まっていくだろう。

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