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EC大手4社のスマート物流発展状況 (2)
アリババのスマート物流発展状況
2019年11月11日
アリババ

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菜鳥がAGV(無人搬送車)ロボットを大量に導入
  アリババは2013年5月に銀泰、復星、富春(FORCHN)など小売・投資グループのほか、順豊、申通、圓通、中通、韵達などの物流大手企業と提携し、「菜鳥網絡科技有限公司」を設立。菜鳥(CaiNiao)のスマート物流の屋台骨の構築を開始した。

  自社構築、共同構築、提携、再編成など様々な手法により、オープン型の共有物流プラットフォームを構築。EC企業や物流企業、倉庫企業、第三者物流サービス企業、サプライチェーンサービス企業などへのスマート物流サービス提供を目指している。

  2017年9月には、アリババが菜鳥網絡に53億元の追加投資を実施。さらに5年間で1000億元を投資する計画だ。菜鳥網絡は、2018年の世界スマート物流サミットの席上で、物流IoT戦略を全面的に推進すると宣言。同時に物流IoTをベースにした世界初の「未来園区」を江蘇省・無錫に建設と発表した。

  この「未来園区」の倉庫には、大量の自動仕分けラインが設置され、AGV(無人搬送車)ロボットやロボットアームなどの技術が導入されている。保管から出庫、分包、配送票の貼付から仕訳まで、全て人手を経ずに行うことが可能で、倉庫及び仕訳け作業の完全スマート化を実現している。

  従来型の物流や製造業と比べ、EC物流のシーンはより多岐にわたり、自動化の際に処理するSKUの数も多い。このため、これまでのソリューションではEC物流に対応することが難しかった。

  菜鳥はディープラーニング、計算機能の強化、3Dセンサー技術などを活用。ロボットの視覚自動化などにより、ロボットアームによる自動選別や自動測量を実現し、仕分けの効率を大幅に向上させた。

  2019年1月22日には、江蘇省・南京で全国初となるロボット仕分けセンターの稼働を開始。ここには菜鳥が研究開発したフレキシブル・オートメーション・システムが導入されている。

  100台のロボットを使用し、大型貨物の仕分けの完全自動化とスマート識別、さらに高速仕分けを実現した。同センターのロボット仕分けシステムは、スーパーなどの貨物の9割以上を処理でき、効率も従来型の物流システムより1.6倍上回っている。

  幹線輸送の面では、菜鳥ET物流実験室が「駝峰プロジェクト」を発表。一汽大衆(中国第一汽車とフォルクスワーゲンの合弁企業)、北京航天大学ドローンチーム、宅配サービスの「点我達」など複数の企業が共同で無人設備の量産を推進。無人車やドローンなどによる新しいスマート物流ネットワークの構築を目指している。

  一汽大衆と共同で発表した自動運転トラック「公路高鉄」や、菜鳥が自社開発した固体レーザーレーダー無人物流車は、2018年の世界スマート物流サミットでも注目を集めた。

  宅配に関しては、2017年11月に、菜鳥はドローンチームによる越境宅配便輸送に成功。農村淘宝の物流サービスも大きく前進した。
2018年4月、菜鳥ET物流実験室が開発した無人宅配車「小G plus」の路面での公開テストが始動。

  2018年7月には、菜鳥による香港でのスマート宅配便ロッカーサービスがスタートした。

  さらに、菜鳥は音声アシスタントサービスも導入。配達員から受取人に自動電話で配達を通知。配達時の手間が減り、効率も大幅に上昇した。
2018年9月、菜鳥網絡は德邦、中通、圓通、申通、百世、韵達など宅配便大手6社と共同で、クラウド動画監視システムを導入する「物流天眼」プロジェクトに着手した。

  全国の各種物流ステーション内にある100万個の監視カメラを従来型の設備からスマートセンサー型に交換。中継及びネットワーク間配送の効率を大幅に改善した。

  配送車両やスタッフなどのリソースをリアルタイムにマッチング及びプランニングする能力は、宅配領域で重要な要素だ。2018年11月11日(独身の日)の天猫「双11」セール期間中、発送された貨物の数が初めて10億個の大台を突破。菜鳥はオンタイムソリューションシステムにより、1秒間に100万件台の注文とトラブルを処理するなど、大きな成果をあげた。

  また2018年には菜鳥のブロックチェーン技術も、サプライチェーン金融や産地追跡などの領域で、実際に利用が開始された。

  菜鳥は自社で物流テクノロジーの開発に取り組むほか、他の物流テクノロジー企業に対しても大規模に投資している。スマート物流の幹線ネットワーク整備を進めるとともに、中国政府による物流ハブ建設政策への対応も怠っていない。

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