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EC大手4社のスマート物流発展状況 (6)
スマート物流設備市場が急成長 倉庫ロボットに投資が集中
2019年11月18日
スマート物流設備市場が急成長
倉庫ロボットに投資が集中

  物流業界では作業の機械化、自動化、スマート化が進んでいる。ロボットが人に取って代わり、人的コスト削減は業界の共通認識となっている。この結果、物流関連設備市場の急成長が続いている。

  国家郵政局の統計によると、中国の物流設備市場の需要は2019年も20%以上の成長を保つという。なかでもスマート物流設備市場の規模は、2014年の425億元から19年には1000億元前後に拡大。年平均成長率は25%に達する。スマート物流設備産業発展の黄金期が、今後10年続くと予想している。

  スマート設備はスマート倉庫設備、スマート仕分けシステム、スマート輸送設備、スマートロボットシステムなどに分けられる。なかでもスマートロボットシステムは注目度の最も高い分野だ。

  最近5年間の物流ロボットの年平均増加率は20%に達し、2018年のAGV(無人搬送車)の市場規模は1.9万台に迫っている。物流ロボットはスマート物流の発展に欠くことのできない重要な設備で、大きな発展の潜在性を秘めている。

  不完全な統計ながら、2018年1月から19年2月20日までで、物流テクノロジープラットフォームに対する外部投資は20件に及ぶという。そのうち、倉庫ロボットサービスプロバイダに対する投資が15社と最も多く、全体の75%を占めている。融資総額は20億元に達し、これは17年の融資額全体の2倍に相当する。
(表1:近年の物流テクノロジープラットフォームに対する融資一覧)
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  現在、中国国内の倉庫ロボット産業は3つのグループに分けられる。

  トップはGeek+(極智嘉)、快倉(Quicktron)、海康機器人(Hikvision)など。

  2段目は艾瑞思機器人、馬路創新、牧星智能など。

  3段目は新たに参入した企業やその他企業だ。

  Geek+、艾瑞思機器人、馬路創新、牧星智能などは過去12ヶ月以内に融資を獲得。快倉は菜鳥網絡からの投資を獲得している。

  EC物流は、膨大な異なる種類やサイズの商品群から、注文に応じて効率よく仕分け・積荷させる必要があることから、スマート物流の実践と応用が最も進んだ業界となっている。

  現在、Geek+、快倉、海康機器人などの顧客は、京東物流、菜鳥、蘇寧物流などのEC企業が主体だ。これらEC物流企業大手による倉庫無人化の自主開発技術も高いレベルを実現している。

IoTが今後のトレンドに

  菜鳥網絡CTO(最高技術責任者)の谷雪梅氏は、2019年にはあらゆるモノがネットにつながるIoTが最も重要な物流技術トレンドになると予想している。
IoTはビッグデータやAI(人工知能)テクノロジーなどと結びつき、物流業界のスマート化をさらに推進するだろう。

  正確な予測とオンラインのスマート意思決定・調整機能は、物流の各段階で影響力を発揮。物流サービス業界の幅広く複雑で不確実性の高い問題を解決に導くと期待されている。

  IoTを中心として、ブロックチェーン、マシンビジョン、リアルタイム処理、フレキシブル・オートメーションなどの技術が次々と導入され、物流業界全体を労働集約型から資本・技術集約型へと一気に転換させていくことだろう。(了)

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