中国消費洞察オンライン〜中国ビジネスをマーケティング視点から再構築!


【第412回】 あらゆる消費行動が“雲”(クラウド)化!!
新型コロナ影響下の中国消費・小売流通!!
2020年3月25日
 会報誌3月号で、新型コロナウイルスの影響下における中国消費を特集しました。春節(旧正月)を目前に控えた1月23日、武漢の駅や高速道路が閉鎖され、都市全体を封鎖するという「封城」のニュースは衝撃的でした。

 その直前まで上海にいましたが、春節に向けた師走ムード満載の街中の様子は普段どおり。確かに今振り返ると、武漢で怪しい病気が流行しているらしいといった噂は耳に入りましたが、まさかこれほどまで深刻だったとは露程も思っていませんでした。

 その後の状況については、あえてここでお話する必要はないと思いますが、ここで気になったのが、今回の新型コロナが中国の消費にどのような影響を及ぼすかということ。中国人の価値観や消費行動もガラッと変わるでしょう。小売流通やネット、教育、医療など各業界がどのような対策をとったのか…など。

 そこで、今回はあくまでもこうした「中国消費」の視点から、新型コロナの影響や実態についてまとめることにしました。ヒトとヒトとの接触を完全にシャットアウトした新型コロナ。この遮断はまさに消費にとって致命的なインパクトとなりました。

 一方で「有事」に対して臨機応変にすばやく対応するのも中国の“強み”です。学校の一斉休校に伴うオンライン授業もさることながら、特に民間レベルでの臨機応変さというか“頭の柔らかさ”には、ただただ驚くばかりです。

 例えば、外出制限で「巣ごもり」消費を余儀なくされた中国で、いつもにも増して重宝したのがネットスーパーや出前の配達でしょう。しかしここで大きな問題となったのが深刻なスタッフ不足。ちょうど春節休暇と重なり、ただでさえ帰省などで配達員が不足している中、注文が殺到してパンク状態に。

 一方で、再開の見通しが全く立たず、従業員の人件費負担に頭を悩ませていたのがレストラン業界です。空いた従業員を派遣し、ピッキングや配達業務をヘルプするという「スタッフシェア」の動きが広まり、タクシー会社も参加。電動バイクでは間に合わない配達需要をクルマでサポートしています。

 またあらゆる消費行動が“雲”(クラウド)化したことも要注目です。ECや教育、医療だけでなく、フィットネスや旅行、さらにはディスコまで動画を見ながら自宅で楽しむという新たなニーズも生まれました。

 こうした変化が新型コロナの収束「後」に、どのような影響を及ぼすのか?そうした視点からもビジネス戦略を練り直す必要に迫られているという思いで、調査・分析しました。
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