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中国百貨店業界の現状を徹底分析 (9)
コト消費を重視 百貨店のモール化進む
2020年3月23日
コト消費を重視
百貨店のモール化進む

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上海第一百貨の上海風情コーナー
  より良いモノを求める「消費昇級(アップグレード)」トレンドに伴い、消費者は体験(コト)型消費をより重視するようになっている。特に、「95後」や「00後」(1995年以降、2000年代生まれ)といった若い消費者にその傾向が強い。

  このため、百貨店でも親子、アート、カルチャー、娯楽、飲食、ハイテクなどのコンセプトを中心に、体験型業態を導入するところが増えている。

  中国百貨商業協会の調査によると、会員企業の77.9%が店舗での体験型業態の割合を増やしたと回答。一方、現在の体験型業態の割合が10%以下の企業が約4割、売場面積で全体の11~20%と回答した企業が3割を占めているのげ現状だ。

  体験型業態へのニーズの高まりに伴い、今後その割合は更に増加すると見て間違いないだろう。(表3:百貨店の売場面積に占める体験型業態の割合)
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  巴黎春天(プランタン)上海淮海路店を例にとろう。

  網紅(ネットで人気の)ブランドや、アート、ハイテクなど若者が好む要素を取り入れたほか、3階にはフランスのルーブル美術館を模した内装を施し、ステージ、バーチャル店舗、商品ディスプレイ兼休憩スペースなどを設けている。

  3D効果が特徴のアート展示も行い、若者の自撮りニーズに応えている。各店舗にはスマート試着システムを導入。アプリで注文し、配達してもらうこともできるようになっている。

  上海第一百貨も2018年にリニューアルを実施。内装はオールド上海の大劇院、アオギリ、弄堂、夜上海の四つがテーマとなっている。

  銀泰百貨は淘宝の国産IP(知的財産)商業プラットフォームと提携し、中国アニメやキャラクター関連をテーマにしたフロアの運営を開始した。

  香港系K11はカルチャーとアートの雰囲気に満ちたディスプレイで、自撮りを愛する消費者の支持を得ている。

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