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「亜馬遜」で再スタートを切るネット通販の雄
吉と出るか凶と出るか?アマゾンの「z.cn」戦略
2012年1月25日

上海地下鉄「徐家匯」駅を占拠したアマゾン中国の広告
上海地下鉄「徐家匯」駅を占拠したアマゾン中国の広告

 先日上海の地下鉄に乗り徐家匯に行った際、辺り一面がアマゾンの広告で埋め尽くされていました。アマゾンといえば、中国のネット通販でも先駆者的な役割を担い、早くから中国でネット通販を開始した会社です。昨今注目を集めている中国アパレル専門B2C最大手のVANCL(中国語名=凡客誠品)の創業者兼社長である陳年氏がアマゾン中国の前身である「卓越網」の創業メンバーだったなど、中国のネット通販業界に深く影響を与えてきました。
 そのアマゾンですが、2004年に当時書籍などのネット通販大手だった卓越網を買収し100%子会社化することで中国進出を果たし、2007年に中国語の社名を「卓越亜馬遜」に改名し「アマゾン」色を出しましたが、淘宝やネット家電通販大手の京東商城など他のB2Cネット通販企業が急成長する一方で影を潜めていました。今回改めて中国語の社名を「亜馬遜中国」と改名し、今や淘宝が圧倒的な存在感をもつ中国ネット通販市場に少しでも風穴を開けようという狙いのなか、物流とサービス面での付加価値を中国ネット通販ユーザーに示し淘宝との差別化を図ろうという戦略です。

 「z.cn」戦略の行方は?
「z.cn」戦略の行方は?

 現在アマゾンは中国に自社物流センターを10箇所(北京(2箇所)、蘇州、広州、成都、武漢、瀋陽、厦門、昆山)設置し、注文の受発注から配送までの業務を一括で行い、また独自に配送チームとカスタマーセンターを有し、送料無料などのキャンペーンやユーザーから根強いニーズのある商品代引きなどに対応しています。特に2011年10月に江蘇省昆山に開設した中国最大かつ最先端の物流センターにより、華東地区16都市では午前11時までの荷積み分の当日配送を実現しています。
 今回のアマゾンの広告宣伝のアピールポイントは「amazon.cn」と打たなくても“単に「z.cn」と打てばいいですよ!”ということで、この簡易式アドレスが強く印象づける形になっています。
 確かに「z.cn」は短くて覚えやすいのですが、ふと中国の歴史書「十八史略」に「鶏口牛後(むしろ鶏口と為るも牛後と為る勿れ)」という故事成語を思い出しました。大きな組織の「末端」として属するよりも、小さくてもいいから「トップ(=老板)」になれとのことで、中国人のメンタリティをよく表した表現だと思います。それから考えると鶏口の「a」ではなく牛後の「z」を選択したアマゾン。果たして中国で成功できるのか。今後も注意深くウォッチしていきたいと思います。
 今回は「2010年中国ネット通販企業のマーケットシェア」と「2011年中国B2Cサイトへのユーザー訪問数トップ10」のデータをご紹介します。以下、ご参考までに。

2010年中国ネット通販企業のマーケットシェア
2011年中国B2Cサイトへのユーザー訪問数トップ10

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