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【第427回】 堅実さ増す??中国の若者の消費・金銭感覚は??
中国の若者の「リベンジ消費・貯蓄」は起こる??
2020年7月8日
 「ウィズ・コロナ」時代のニューノーマル(新しい日常)が声高に叫ばれている日本を尻目に、中国では以前の日常に戻りつつある「アフター・コロナ」に着実に突き進んでいるように思えます。そうした中、消費の動向として、果たして期待されていた「報復性(リベンジ)消費」が起こるのか?それともやはり現実的に「報復性貯蓄」に走るのか?

 この疑問について、若者層向けソーシャルレンディング(マイクロレンディング)で注目されている「楽信集団」傘下の楽信研究院が、中国各地の3,327名の若者を対象にしたアンケート調査から読み取れそうです。

 今後1年間の収入予想について、意外にも中国の若者は「収入は減らない」と回答した人が62%に上ったようです。消費のほうも「少し増やす」が43%、「大きく増やす」も22%で、合計65%に。元々給与水準が高くなく、またリストラの対象になりにくい、さらに転職が比較的容易というのが関係しているのでしょう。

 であれば、リベンジ消費に走るのか?と思いきや、「良い物を少しだけ買う」が40%に達し、同じく40%が買物に「以前より慎重になった」と回答。さらに26%が「(ローンやカードを)使いすぎていないか気になる」とも。「品質」、「慎重」、「金額抑制」といったキーワードから、若者の消費がより理性的になっている傾向が読み取れます。

 また全体の66%がローンを利用。71%が月収に占める返済額の負担を低めに設定。8割が負債率30%以下に、そのうち43%が10%以下に抑えているもよう。債務が蓄積して信用度を下げないように、「なるべく早めに返済する」と答えた人は22%。契約を遵守して期日通り返済するも76%で、94%が最近3ヶ月間滞納していないと回答しています。

 そこで問題の貯蓄ですが、「大幅に増やす」の割合は5%のみ。回答者の多くが「小幅増」か「増やさない」でした。同レポートからは、若者の「リベンジ貯蓄」傾向はあまり顕著とはいえません。

 「リベンジ消費」の期待が最も高かった若者ですが、コロナ後も多くが理性を失わず節約に励み、“お得”な消費を重視していきそうであることが、このアンケート結果から読み取れます。

 ※会報誌2020年5月号の「アフターコロナの中国消費」特集で、各種アンケート調査レポートを取り上げています。
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