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外資によるネット通販解禁の「その後」
「網上零售」ライセンスで無店舗でもネット通販を
2012年1月31日

  2010年8月に商務部弁公庁から「外商投資によるインターネット及び自動販売機方式の販売プロジェクトの審査認可・管理に関係する問題に関する商務部弁公庁の通知」(商資字[2010]272号)が出て、実質的に外資にネット通販が解禁となり1年半近くになりますが、その後ICP備案(届出)のみでの外資100%でのネット通販の実例はありますでしょうか?という問い合わせが、最近たて続けに数件ありました。上海でコンサル実務を担当する身としては、ここまで日中間で情報のデバイド(格差)が生じているのかと正直驚きを隠せませんでした。

  この問い合わせに対する回答は「YES」です。すでに多くの日本企業含め外資100%企業がネット通販のサイトを開設し商品を販売しています。この通達の背景と解釈については当サイトのオンラインセミナー「外資に解禁!何が変わった?中国EC環境の変化と法規制」で詳しく解説していますので文末のリンク先をご参照ください。

  端的に経緯をまとめると、当時ネット通販は「外商投資産業指導目録」で制限類に属していることから許認可取得が必要であったために、コンプライアンスを遵守する日本企業は躊躇するという背景のなか、この通知により「小売または卸売の商業ライセンスを有する外商投資企業はネット通販も直接行ってもいい(別に改めてネット通販のライセンスは不要)」ということが明確になり、正々堂々と行なえるようになりました。

  ただ、消費者に対して販売するためには小売の商業ライセンスが必要なのですが、外商投資企業の場合、小売のライセンスを取得するためにまず店舗スペースを準備(店舗物件の賃貸契約)する必要があったため、やはり中国でネット通販を気軽にスタートさせるというわけにはいきませんでした。

  その後、実務的に規制が緩和され、実は最近ではインターネットでの小売に限る「ネット小売(=網上零售)」という文言が営業許可証の経営範囲に表記される日本企業のケースも見られるようになりました。つまり、卸売のライセンスのみを取得し(この場合は店舗は不要)、そのうえで、インターネットでのみ小売販売を行うということで、この「網上零售」のライセンスを取得し、正々堂々と店舗なしでネット通販(小売)も行うことができるようになっています。

  もちろんライセンス的にはハードルが下がったとはいえ、実際には多くの日本企業がインターネットでの販売不振で苦戦しているのも事実です。ただ、これまではコンプライアンスの問題があり、なかなか気軽にネット通販に進出できなかったことを考えれば、今はいかに売るかに集中すればいいので、ある意味やっと正常の状態になったといえるでしょう。

  2012年も中国のネット通販はこれまで以上に発展し、かつ、サービスやニーズも成熟化していき、ネット通販先進国の日本で培ってきたノウハウや経験を存分に発揮できる素地ができつつあると思います。まずは第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

■外資に解禁!何が変わった?中国EC環境の変化と法規制
http://www.cast-marketing.com/index.php?Mod=Marketing&Cmd=DataList&Action=Detail&MRid=100
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