中国消費洞察オンライン〜中国ビジネスをマーケティング視点から再構築!


【第439回】 豊かになれば日本製品求めるは“幻想”??
中国消費の新勢力「新中間層」に注目すべし!!
2020年9月30日
 会報誌9月号の巻頭特集で、中国消費の新勢力として近年注目を集める「新中間層」を取り上げました。中国で「中産階級」と呼ばれる中間層。資本家階級(支配層)と労働者階級(被支配層)との中間に位置する階層のことで、色んな定義の仕方があるようですが、簡単に言うとサラリーマンが最も該当するでしょう。

 その中でも、アッパーやミドルレベルのサラリーマンで、一定の所得水準を有し、価値観やライフスタイル、消費行動など、昨今の社会・経済情勢を反映した新しいタイプの消費者群を、中間層の中でも新しい「新中間層」としています。

 大手コンサルティング会社のマッキンゼーは、中国の中間層(中レベル所得層)の数は3億人超と試算。その数は現在も増加中で、2025年には5億人を超えて、都市部人口の半数以上を占めると予想。可処分所得は総額13.5兆元に達するとも見込んでいます。(中国のネット上では、中間層が20年に7億人に達するという記事も…。)

 かつては「一億総中流」ということで世界でも最も分厚い中間層を有していた日本。それがバブル崩壊後の失われた20年または30年の景気後退により、中間層が衰退、最近では貧困層が増えているとも言われています。

 また安倍政権が掲げたアベノミクスによる経済政策は、都市部などの高所得者層や投資家を潤す反面、中間層には恩恵が行き届かなかったという指摘も。特に今回のコロナ流行で、そのモメンタムはさらに加速しそうです。

 コロナの影響が依然色濃く残る世界各国の中、あたかも“一人勝ち”かのごとく経済再生に向けて前進する中国。特に消費の復活を期待する各国企業も多いことでしょう。一方で中国の消費者も、今回のコロナで少なからず影響を受けているのも事実。以前の爆買いではないですが、やみくもに消費する時代は終わったと言っても過言ではないでしょう。

 そうした中、中国消費のボリュームゾーンである中間層。特に一定の所得と消費力を有する「新」中間層の把握が、今後ますます重要になってきます。ある程度裕福になると、より品質の良い日本製品を欲しがるだろうという“幻想”は、もはや彼らには通じなくなっているようにも思えます。

 中国の新中間層が何に価値を見出し、共感し、消費行動に移すのかをしっかりと見極めるためにも、今号の特集がお役に立てればと願うばかりです。
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