中国消費洞察オンライン〜中国ビジネスをマーケティング視点から再構築!


コロナ後の中国消費者の意識&行動を調査・予測(11)
高齢者もデビューのEC ライブコマースが主流に
2020年9月25日
コロナが生んだ消費トレンドは継続するか?

  “雲(クラウド)”上でのショッピングやトレーニングにディスコ、テレワーク、オンライン授業など、新型コロナウイルスのまん延で生まれ、浸透したライフスタイルは、コロナ後(アフターコロナ)にどうなるのか?こうしたトレンドや動向を踏まえた上で、中長期の中国ビジネス戦略を練り直すことが大事であることは言うまでもないだろう。

  そこで、以下、コロナ禍に生まれた消費トレンドをいくつか列挙しながら、今後の予測や動向について洞察したい。

高齢者もデビューのEC
リアル消費はシェア低下?

  コロナの影響が最も顕著な筆頭が、オンライン消費だろう。

  中国国家統計局によると、2020年の第1四半期における一般商品のネット売上総額は1兆8,536億元で前年同期比5.9%増を記録。なかでも食品類は32.7%と急増した。

  またネット出前アプリの餓了麽やネットスーパーの盒馬鮮生など、デリバリーを伴う業態では、コロナ期間中の受注件数が100%超の増加を記録している。
“雲下単(クラウド注文)”も各家庭で常態化しつつある。

  新型コロナは、これまでオンライン消費にあまり縁のなかった中高齢者や農民などに対しても、ネットを使用せざるを得ない状況に追い込んだ。
多くの高齢者が、子や孫の指導の下、ネットで野菜や肉を購入したり、出前を頼んだりする方法を習得。その利便性を体験して、新たなユーザーとなった。
高齢者層を対象とする情報発信や配送サービスが、今後商機となる可能性もある。オフライン消費はさらにシェアを失っていくと予想される。

ライブコマースが主流に
動画の見せ方も多様化

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ライブコマースはアフターコロナ時代にも人気が継続
そのオンライン消費に大きく貢献したのが「ライブコマース」だ。アフターコロナの時代にもその人気は継続すると見込まれている。

  コロナにより多くの人のネット利用時間が大幅に増加した。中国の調査会社QuestMobileの統計によると、2020年2月期に、モバイルネットユーザーの月間オンライン時間が前月比で平均16.4時間多くなったという。

  人気のライブ動画配信者と提携してライブ販売を行う企業が多い一方で、自社でライブシステムを構築する企業も後を絶たない。すでに様々な業界のあらゆるブランドがライブコマースに参入している。

  実物を見たり、触れたりすることが欠かせないと思われがちな住宅の内装業界でも、ライブコマースが人気を集めている。

  中国全土にチェーン網を擁する家具販売大手の「居然之家」は、店舗ごとに淘宝(タオバオ)上でライブコマースを実施。232店舗で合計4,810回のライブ動画が配信され、取引額は4.8億元に達した。

  またライブコマースのバラエティ化が一つのトレンドになっている。

  スポーツアパレル大手のナイキが、3月26日に天猫旗艦店で行った「Air Max Day 2020」を例に取ろう。トークショー、歌、ダンスをメインに販売をからめたコンテンツは、バラエティ番組と言っても過言ではなく、多くの視聴者に熱狂的に受け入れられ、また高い売上も記録した。

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