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【中国消費洞察メルマガ 第538号】~「下沈市場」の消費者ってどんな人たち?~

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2022年9月21日 毎週水曜日配信・無料
【中国消費洞察メルマガ 第538号】
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 こんにちは。キャストグローバルの大亀です。

 成都でも静かに広がりつつある日本酒。今年1月にオープンしたばかりのイトーヨーカドー金融城店には、日本酒が試飲できるバーが設置されています。5種類の日本酒が試飲でき、1杯(約60ml)30~40元。私は以前から飲んでみたかった奈良の「風の森」を選択。冷蔵管理も完璧で、微発泡がしっかりと残っており、最高の味わいでした。

 成都での日本酒マーケットに未来を感じ、奮闘されている中国人もいます。江蘇省出身の張宇氏。白酒「洋河酒」で有名な宿遷で生まれ育った彼は、自ずとお酒に関心を持ち、浙江省・嘉興で醸造学を学びました。その後、「千福」で有名な広島の酒造メーカー三宅本店の上海関連会社に就職し、中国での日本酒醸造の夢を描いていました。

 しかし本社の方針で、中国での醸造事業は一旦白紙に。千福の中国代理販売でたまたま出展した成都での食品展示会で、成都の市場性に着目。そのまま成都に居座って、当地での日本酒の啓蒙に励む決心をします。

 四川大学近くのモール内に「八爪魂日本酒体験店」をオープン。販売よりもまずは体験してもらうことをモットーに、すき焼きなどの日本料理も提供しながら、日本酒を紹介しています。「まだ中国に知られていない美味しい日本酒がたくさんある。それらをとにかく多くの成都の人たちに味わってほしい」と熱く語る張氏。近々店舗を移転してリニューアルするらしく、今後の展開が楽しみです。

 今週のコラムは、「下沈市場」の消費者像についてです。では、中国消費洞察メルマガ第538号をお送りいたします。

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■大亀浩介の中国消費洞察ブログ >> http://okamekosuke.jugem.jp
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【目次】
 1. コラム「大亀浩介の中国Bizコンサルタントの眼」(第538回)
   ◆日本企業にとって未だ手つかずの未知の領域
    ~「下沈市場」の消費者ってどんな人たち?~

 2. 新着コンテンツ一覧

 3. 新着統計データ一覧

 4. お知らせ
     会報誌「中国消費洞察」2022年7&8月合併号(vol. 96)発行
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■コラム 「大亀浩介の中国Bizコンサルタントの眼」(第538回)
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【第538回】 日本企業にとって未だ手つかずの未知の領域
 ~「下沈市場」の消費者ってどんな人たち?~

 中国で三線(級)以下の地方都市と農村部を指す「下沈市場」。一線や二線(級)など大都市の状況はほぼ把握できている日本企業にとっても、下沈市場はいまだ手つかずの未知の領域といえるでしょう。下沈市場は、人々の収入やライフスタイル、キャリア、カルチャー・娯楽など様々な面で大都市とは大きく異なっています。

 まず家族構成ですが、中国調査会社・艾瑞諮詢(アイリサーチ)の「2021年中国下沈市場Eコマース研究報告」によると、「両親+未成年子女」の世帯が全体の52.9%を占めているようです。一人暮らしと夫婦・恋人との同棲がそれぞれ11.8 %で、中国の地方都市や農村部でも核家族化が進んでいることが垣間見れます。また毎月の課税前の平均収入が1万8,000元(約36万円)以下の世帯が、全体の6割以上を占めています。

 性別は、男女比がそれぞれ52.2%と47.8%と男性が若干多いのですが、一方で、ネット通販については、女性ユーザーが男性を上回っています。コンサル会社MSC諮詢の「中国下沈市場シリーズレポート~消費小売編」によると、下沈市場におけるネット消費者の男女比は42.8%:57.2%と女性が圧倒しています。また、近年注目を集める新しい消費主力層である2000年代生まれの「00後」世代ですが、下沈市場が中国全体の66.3%と過半数を占めていると伝えています。

 下沈市場は大都市に比べて、生活リズムがのんびりで、勤務時間も短い傾向にあるようです。中国調査会社・艾瑞諮詢(アイリサーチ)の「2021年中国下沈市場Eコマース研究報告」によると、アンケート回答者の41.9%が「学習・仕事の負担が少なく、自分の時間があること」を重視し、また36%が「家庭に重心を置き、余暇の多くは家族・子供と過ごす」と回答。「学習・仕事が忙しく、仕事で生き残ることが重要」と答えた人はわずか22.2%にとどまっています。

 MSC諮詢の「中国下沈市場シリーズレポート~小売編」でも、下沈市場のホワイトカラー層は1日に約6時間の自由時間を有し、フリーターや無職など仕事がなく家で過ごしている人の自由時間は15時間に達しているようです。

 このように自由時間の多い下沈市場の人々は、レジャーや娯楽に高い関心を寄せており、なかでもネット動画、音楽配信サービス、ゲームが、最も好む余暇の過ごし方になっています。中国で「小鎮青年」と呼ばれる地方の小都市に居住する若者の50%が、1日に1時間以上ゲームし、15.6%が1日1時間以上ライブ動画を視聴。また38.9%が課金してゲームをしたことがあると回答しています。

 情報収集に関しては、スマートフォン(65%)、パソコン(53%)、テレビ(52%)、バス広告(44%)、マンション・オフィスビル内のエレベーター広告(38%)などが主なチャネルとなっており、なかでもミニブログの微博(ウェイボー)や、チャットアプリの微信(ウィーチャット)などSNSメディアが、すでに下沈市場の消費者にとっても欠かすことのできない情報源となっています。一方で、大都市よりもテレビやラジオの影響力が未だ健在とも指摘されています。

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◆中国「新消費」調査分析レポート(7)
 ~中国「新消費」を特徴づける7つのキーワード ⑤ 新理性(新しい理性) 高品質が基本のコスパ重視

 EC、SNS(ソーシャル)、コンテンツなど各種プラットフォームの普及に伴い、消費者の情報取得チャネルはより幅広いものとなり、情報の透明性も高まっている。ECプラットフォーム上では、製品情報やユーザーの口コミ評価を見ることができる。微信(ウィーチャット)や微博(ウェイボー)などのSNSプラットフォームでは、知人の商品に対する感想などがわかる......

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◆中国「新消費」調査分析レポート(6)
 ~中国「新消費」を特徴づける7つのキーワード ④ 新体験(新しい体験)利便性重視から体験重視へ

 「90後」世代は、消費に利便性を求めるだけでなく、消費の環境や面白さ、インタラクティブ(双方向)性、参加型などの体験面にも高いニーズを有している。中国調査会社の易観分析(Analysis)の「2021消費品業界大観察」によると、利便性は消費に影響を与える大きな要素の1つという。消費者の36%がネットで消費し、購入したものを自宅まで配送して欲しいと考えている......

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◆中国「新消費」調査分析レポート(5)
 ~中国「新消費」を特徴づける7つのキーワード ③ 新国貨(新しい国産品) 中国国産ブランドが大人気

 中国経済の成長と科学技術の発展に伴い、豊かで個性を重視し、自尊心の強い「90後」世代の消費者を中心に、中国国産ブランドを支持する“愛国”的な「国潮」がトレンドとなっている。さらに、新型コロナウイルスの流行や米中貿易摩擦は、中国国産ブランド熱を若者だけでなく、老若男女問わず消費者全体へと広がりつつある...... 

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◆中国「新消費」調査分析レポート(4)
 ~中国「新消費」を特徴づける7つのキーワード ② 新個性(新しい個性) 盲目的信仰から個性重視へ

 新個性とは、ブランドに対する「盲目的信仰」をやめ、自身の個性をより重視することを意味している。若い消費者は、以前のように情報を盲目的に受け入れることをやめ、自身でトレンドを見極める習慣を身に着けつつある。見た目だけでなく、中身も兼ね備えた商品に高い人気が集まっている......

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◆中国「新消費」調査分析レポート(3)
 ~中国「新消費」を特徴づける7つのキーワード① 新品質(新しい品質) 二極分化から品質革命へ

 新品質とは、つまり「二極分化する奇形消費」から「全面的な品質革命」への移行と表現することができる。「90後」世代の消費者の台頭に伴い、中国の消費市場では高級品と低価格品の二極化消費から、中高価格帯の商品へと人気が移行しつつある。背後にあるのは消費者の品質重視の姿勢だ......

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◆中国「新消費」調査分析レポート(2)
 ~消費の主力層として台頭する「90後」世代 若者が「新消費」発展の牽引役に

 中国の消費の中堅層は、「80後」(1980年代生まれ)から「90後」(1990年~94年生まれ)や「95後」(1995年~99年生まれ)世代の消費者へと重心をシフトしつつある。 この変化は、中国の消費市場にも大きな構造的変革をもたらしている。中国調査会社の易観分析(Analysis)の「2021消費品業界大観察」によると、大手ECプラットフォーム各社で、30歳以下のユーザーの割合は51%に達しているもよう......

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◆中国「新消費」調査分析レポート(1)
 ~「90後」世代とデジタル化が“新しい”消費を牽引 中国「新消費」時代といかに向き合うべきか!!

 「新消費」というキーワードは、2015年11月23日に中国政府の国務院が公布した「『新小売』の主導的効果を積極発揮し、新たな攻撃力・動力育成を加速することに関する指導意見」の中で誕生した。この文書では、「従来型消費システムのアップグレードと、新しい消費の振興を主要内容とする『新消費』」という表現で用いられている......

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◆消費ブランド「WONDERLAB」調査分析レポート(16)
 ~輝かしい経歴の経営陣が活躍 ベンチャーから多くの資金調達

 WONDERLAB(ワンダーラボ)は新興ブランドながら、同社経営層のバックグラウンドは特筆すべき優位性が存在する。同社COO(最高執行責任者)の劉楽氏は、かつて騰訊(テンセント)のEコマース動画部門の運営責任者や、P&Gのエリア責任者などを歴任してきた人物だ。創始者兼CEO(最高経営責任者)である肖国勛氏は、P&Gや中国航空集団などの世界トップ企業ランキング500社の出身者だ。いずれも起業家で、新消費ブランドに関する豊富な経験を有している......

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◆消費ブランド「WONDERLAB」調査分析レポート(15)
 ~オン・オフラインを同時活用 盒馬鮮生(フーマー)でも販売

 オンラインで一定のフォロワーを獲得した後、WONDERLAB(ワンダーラボ)はオフラインでのマーケティングに着手した。オンラインとオフライン双方の販売チャネルの活用により、より幅広い消費者へのアクセスを目指している...... 

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◆消費ブランド「WONDERLAB」調査分析レポート(14)
 ~異業種コラボ商品を発売 喜茶とのコラボが大人気に

 異業種とのコラボ商品もWONDERLAB(ワンダーラボ)が得意とするマーケティング手法の一つだ。LINEスタンプ「QQ Family」、スポーツジム「超級猩猩(スーパーモンキー)」、茶ドリンク「喜茶(HEYTEA)」、中国最大級の野外音楽フェスティバル「草莓音樂節 Strawberry Music Festival」、Eスポーツ「TOP ESPORTS(滔博電競)」などとのコラボ商品を相次いで発売...... 

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■新着統計データ一覧
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◆2022年中国各省市の最低賃金(2022年4月1日時点)

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■お知らせ
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◆会報誌「中国消費洞察」2022年7&8月合併号(vol. 96)発行

 会報誌2022年7&8月合併号(vol. 96)の巻頭特集では、アウトドア市場を取り上げた。新型コロナの流行で、海外や省外への遠出旅行が困難となり、近場に新たな行先を求めるようになった中国人。旅行気分を味わえ、身体を動かすこともできる上に、社交性も高いアウトドアのスポーツやアクティビティに人気が集まっている。

 これまでランニングや登山、バイク(自転車)など専門的な装備や体力を必要とするイメージが強かったアウトドアだが、近年中国で注目されているのは、気軽に参加できる新しいアウトドアスポーツのほうだ。都市の近郊でピクニックやキャンプ、サップ(SUP ※スダンドアップ・パドルボードの略)などを楽しむ人が増えつつある。

 中国で「微度暇」と称される“プチ・ホリデー”的なアクティビティは、身近な環境を活用するのが大きな特徴だ。キャンプも森林や砂漠、草原などにわざわざ足を運ばず、都市周辺で楽しむのがトレンドだ。ちょっとした自然のなかで心身を解放して身体を楽しく動かすことが、今の若者のアウトドアスタイルといえるだろう。

 また北京冬季オリンピックが開催されたことにより、スキーなどスノースポーツの人気も高まっている。スキーやスノーボードを始める若者が急増。春から秋はキャンプ、冬にはスノースポーツと、アウトドアスポーツが大きなトレンドとなっている。

 旅の攻略法などの情報を発信するプラットフォーム「窮遊網」(m.qyer.com)によると、アウトドア系の旅が人気を集め始めたのは2020年という。キャンプは前年比で303.5%増、キャンピングカーの旅は243.5%増、ドライブ旅行は78.6%増、徒歩や自転車の旅もそれぞれ32.6%増、21.7%増と成長したもようだ。

 新しいアウトドアシーンの広がりは、アウトドアレジャー市場にとって大きな商機となっている。中国調査会社の華経産業研究院は、中国のアウトドア用品市場規模は2020年時点で約1,700億元に達し、2025年には2,400億元を超えると見込んでいる。

 そこで今号では、現在中国で最も人気の高いキャンプを中心に、アウトドアレジャーの愛好者イメージ像のほか、同市場の発展や変化を分析。また主なアウトドアブランドの状況から、中国国内で人気のライフスタイルやアウトドアレジャー市場の商機についても分析した。

 次に、こうしたアウトドア熱を背景に高まる紫外線対策ニーズを見事に捉え、急成長している新興ブランドでUV(紫外線)カットアパレル及びグッズの「Beneunder蕉下」にフォーカスした。

 コスメジャンルのKOL(キーオピニオンリーダー)や企業・ブランドによる“布教”の影響もあり、中国で夏だけのものだったUV対策が1年を通して欠かせない日常習慣へと変化しつつある。特にアフターコロナになってからは、キャンプやフリスビー、釣りなどのアウトドア・アクティビティの人気が急上昇するなか、紫外線対策の重要性はさらに高まっている。

 中国版インスタグラムとも称されるSNSプラットフォームの小紅書(RED)上には、中国語で「防晒」というUVカット関連の投稿コンテンツ数が442万件を超える。また中国版TikTokの抖音(ドウイン)上では、関連動画が164億回以上も再生されている。

 ユーロモニターによると、2021年の世界と中国のUVカットコスメ市場規模はそれぞれ794億元と167億元だったもよう。また2012年から2021年の9年間のCAGR(年平均成長率)はそれぞれ0.9%と10.5%で、中国市場の成長率が世界を大きく上回っていることがわかる。

 UVカット商品はコスメだけに限らない。日傘などで物理的に紫外線を遮断することを中国では「硬防晒」(※硬はハードの意)と称している。日傘のほか、帽子、UVカット服、アームカバー、手袋、サングラスなどが含まれる。一方、日焼け止めクリームなどのUVカットコスメは「軟防晒」(※軟はソフトの意)と称される。

 ここ数年、「硬防晒」のほうがより安全性が高く、より高いUVカット効果が期待できるとのことで、ネット上で注目を集めている。今年の夏、中国では例年にも増して高温の日が続いており、街には全身をUVカットファッションで“包んだ”若者どころか、子供から中年女性まであちこちで見受けられるようになっている。

 中国コンサルティング会社CIC(灼識諮詢)によると、中国のUVカットアパレル市場は、2016年の459億元から2021年には611億元にまで成長。2026年には958億元規模になると見込んでいる。

 UVカットアパレル市場の潜在性に目を付けたユニクロやANTA(安踏)などの大手スポーツアパレルメーカーのほか、「Beneunder蕉下」、「oh!Sunny」、「uv100」など新興ブランドも続々と誕生するなか、特に注目株といえるのが、Beneunder蕉下だ。

 2012年に日傘ブランドとしてスタート。2022年の「618」セール(※6月18日前後に開催される大型ネットセール)で、取引額1億9,000万元を記録。天猫(Tモール)のアウトドア・アパレルアクセサリー部門でもトップとなり、一躍中国でUVカットグッズのトップブランドに躍り出た。

 そこで今号では、このBeneunder蕉下の商品ラインナップやブランドポジショニング、マーケティング手法、販売チャネル・運営戦略などについて分析し、いかにマイナー(ニッチ)市場でニーズを掴み、UVカット業界のトップブランドにまで成長したかについて分析した。

 トレンドウォッチでは、毎年恒例の上半期最大の「618」セールから中国消費トレンドを読み解いた。コロナ等の影響で例年ほどの賑わいは感じられなかった618セールだが、セール全体の実績データを見ると、取引総額は昨年よりもさらに増加している点は注目に値する。

 ビッグデータ調査会社の星図数据(SYNTUN)によると、2022年618セール期間中のネット全体の取引総額は6,959億元で、前年の5,785億元より20.3%増を記録。またECプラットフォーム大手で唯一取引額を公表した京東(JDドットコム)の取引額も3,793億元の新記録で、前年比10.3%増と成長を示している。

 ビッグデータ分析会社の魔鏡市場情報(MKTINDEX.COM)によると、天猫(Tモール)も2,425億元の取引額だったもよう。さらに動画関連データツールの飛瓜数据(feigua.cn)によれば、抖音(TikTok)と快手(クアイショウ)の618セール期間中の取引額は、前年比でそれぞれ656%と515%増と成長。なかでも抖音は、ライブコマースの配信時間が累計で4,045万時間に達したという。

 リアル業態でも、618セール期間中の取引額が前年比514%増となった。なかでもアリババが買収した百貨店大手で浙江省を本拠とする銀泰百貨は、618セール期間中に来店者数が第2四半期のピークを記録した。

 新型コロナをはじめとする様々な要因の影響を受け、中国消費市場の成長は一定のマイナス圧力を受けている。一方で、中国人の消費規模の拡大傾向や消費のアップグレードトレンドは基本的に変化していないとも見て取れる。

 そこで今号では、今年の618セールの実績データをもとに、その変化や注目点の詳細な分析を通して、現在の中国の消費トレンドを10個ピックアップして解説している。

 最後に、マーケティングコラムでは、あの頃の中国ビジネス&生活をテーマに、日中両国間のネット事情とスマホ決済について取り上げた。

 1979年頃から始まる改革開放政策で、まさに“イケイケドンドン”で急成長してきた中国経済。特に2001年の中国WTO(世界貿易機関)加盟以降、多くの日本企業がこぞって中国に進出。さらに2004年に施行された「外商投資商業領域管理弁法」で小売流通市場が外資に解禁され、世界の“工場”から“市場”へとシフトするなか、中国進出ブームが日本で起こった。

 あれから約20年。ちょうど初めて上海に赴任してから生活してきた期間と重なる。ネット通販やスマホ決済が普及する一方で、中国経済の先行き不透明感が増すなど、中国事業環境も大きく様変わりしている。

 そこで改めてこの20年間の移り変わりについて、中国ビジネスや生活の“あの頃”を振り返る。スマホ決済やシェア自転車がいかに普及したかなど、中国で生活していたからこそ肌身で感じられた経験や体験をもとに解説する。

 そのほかにも、中国の消費やマーケティングに関するインサイト情報やデータが盛りだくさんです。

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会報誌『中国消費洞察』 
2022年7&8月合併号(vol. 96)  もくじ
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【巻頭特集】中国アウトドア市場調査分析レポート
コロナで近場の“プチ・ホリデー”ニーズ高まる
キャンプ中心に空前のアウトドアブーム到来

【注目企業ピックアップ】新興ブランド「Beneunder蕉下」分析レポート
アウトドア熱の高まりで紫外線対策が“日常”に
UVカット分野で一躍トップに!「Beneunder蕉下」

【トレンドウォッチ】618セール消費トレンド分析レポート
スマート、健康、エコロジー、こだわりがホットに
618セールの実績から読み解く中国消費トレンド

【マーケティングコラム】あの頃の中国ビジネス&生活①
日本でのマーケティング経験が全く通用しない?
実は不信感や抵抗感が強かったスマホ決済

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