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中国高齢者向け「養老」産業を徹底分析 (5)
高齢者向け養老施設 民営の営利型が主流
2020年11月5日
高齢者向け養老施設
民営の営利型が主流

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介護ベッド数の不足が深刻な問題に
  高齢者向けの養老施設は社会福祉型と営利型の2つに分けられる。

  社会福祉型は政府主導で設立され、政府からの補助を受けている。提供するサービスは基本的なケアにとどまる。

  営利型は民営の施設で、より様々なニーズに応えることが可能だ。政策による市場開放や優遇の増加に伴い、ここ数年急増している。規模や効果の面で、高齢者ケア市場の主力となりつつある。

  中国ビッグデータ研究の鯨准研究院が2019年7月に公表した高齢者ケアサービス業界の報告書によると、現在、中国の高齢者施設運営の主力は民間資本で、全体の79.3%を占めているという。ちなみに政府とその他の割合は19.5%と1.2%だった。

  資本面では、民間資本が高齢者施設運営の絶対的主力となっているが、価格面では政府系施設と競いようがないのも事実だ。

  「中国老齢産業発展報告」によると、民営のうち利益を計上している施設は全体の10%に満たないという。利益を上げている高齢者施設でも、利益率が5%を超えるのはわずか22%にとどまるもようで、収益力は全体的に高いとはいえない。

不足が深刻な介護ベッド数
  現在、中国の高齢者施設は分布に偏りがあり、二極化が進んでいる。費用やサービス水準で見ると、最も多いのは民営の高級施設と保障型施設の2つだ。

  保障型施設の主なサービス対象者は、無収入で誰も世話する人のいない高齢者だ。高級施設は費用が高く、庶民には到底払えないレベルとなっている。

  そのため、最も人口の多い中間層の高齢者がサービスを受けられる施設は不足が深刻化しており、各種高齢者ケア施設のベッド利用率は依然として低いままとなっている。

  高齢になり、介護が必要な人のケア施設も不足している。

  「第4回中国都市・農村高齢者生活状況サンプル調査」の結果によると、2015年末時点における中国の要介護と要支援の高齢者の数は4,063万人に達しているのに対し、ケア施設の対応可能人数は63.7万人にとどまっている。これは総ベッド数の17.8%(63.7/358.1)に過ぎず、介護ベッド数の不足も深刻な問題となっている。

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