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2020年中国消費トレンド番付 (8)
前頭(東)Z世代:存在感増す若いZ世代 近い将来の消費を担う主役に
2021年2月4日
前頭:(東)Z世代 (西)新中間層・新ブルーカラー

存在感増す若いZ世代
近い将来の消費を担う主役に

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超人気アイドルの王一博(ワン・イーボー)は多くのブランドでイメージキャラクターに起用
Z世代とは、中国では一般に1995年から2009年に生まれた若年層のことを指す。中国国家統計局によると、2019年に中国のZ世代の人口は2.26億人を超え、総人口の16%を占めている。

  彼らは生まれながらにしてインターネットに慣れ親しんでおり、中国では「網絡原住民」とも称されている。ネットどころか、ソーシャルネイティブともいわれるほどSNSへの依存度が高く、KOL(キーオピニオンリーダー)や網紅(ネットの人気者)の「種草」(ジョンツァオ ※リコメンド)による影響を受けやすい。

  また恵まれた環境で育ち、開放的な消費観を持つ。消費意欲も旺盛で、個性をより重視。コト(体験)消費や新鮮なこと、他人に認められることを好む世代でもある。そんな彼らが近い将来、経済や消費、文化の主力層となっていく。

  Z世代の消費市場への影響力は年々高まり続けている。すでに多くの企業やブランドが、Z世代の消費習慣や好みに合わせたマーケティングに取り組んでいる。

  テンセント系のQQ広告が公布した「Z世代消費力白書」によると、社交、キャラクター設定、「悦己」(自分が楽しみ喜ぶこと)がZ世代の三大消費動機という。彼らは、消費を他人に認めてもらうための表現の1つであり、社交関係を維持するための機能と捉えている。

  様々なテイストの商品を探して試してみることで、自分に合うライフスタイルを見つけ、自身のキャラクターを設定する。好きなモノを手に入れることは、最も直接的に幸福感が得られる行為といえるだろう。

  Z世代よりも上の世代がブランドを重視するのに対して、この世代は物心ついた頃から長期にわたって各種トレンド情報に触れてきたこともあり、ブランドやロゴを見せびらかすよりも、各個人の態度や個性を表現することを好む。

  平和な時代に生まれ育った彼らは、経済成長のメリットを充分に受けている。愛国心や自国文化への自信に満ちているのも特徴だ。

  Z世代はここ数年高い人気を誇る「国潮」(愛国消費)ブームにおいても大きな影響力を持っている。アリババ系の阿里研究院によると、新興の中国ブランドを好む消費者のうち、半数以上が「95後」(95年以降生まれ)世代という。

  Z世代は顔面偏差値(見た目)を重視し、独自の審美眼を持つ。手に入れる商品は、まず「美しい」ことが絶対条件であり、次いで重視するのはブランドのコンセプトやクオリティなど。キャラクターを生かしたIP(知的財産)とのコラボ商品を好み、顔面偏差値のためなら少しくらい多く出費することも厭わない。

  中国で「飯圏」と称されるファンサークル文化も、Z世代の特徴の1つだ。

  インターネットが発達した現在、芸能人の追っかけもCDを買ったり、サイン入りのポスターを買ったりといったレベルにとどまらない。微博(ウェイボー)などでの各種ランキングで好きな芸能人が上位になるために、大枚をはたく。好きなタレントがイメージキャラクターを務める商品は必ず買い、彼(彼女)の影響力を証明しようとする。芸能人のフォロワーが特に多いZ世代の間では、芸能人の一挙手一投足による経済効果は、想像を上回るものがある。

  逆に、ブランドへの忠誠度が極めて低いのもこの世代の特徴だ。好みのブランドを次々と乗り換える彼らの影響で、巷にはネットで人気に火がついた大量の「網紅」(ワンホン)ブランドや商品で溢れている。

  孤独を感じやすいZ世代は、他人に評価されることを好む。好みの似通った仲間とグループを作り、多くの細かくセグメント化された市場を生み出している。

  趣味にお金を使うのもZ世代の特徴だ。UGC(ユーザー生成コンテンツ)プラットフォームや二次元(アニメ、ゲームなど)を好み、「ナマケモノ(嬾人)」経済や「オタク(宅)」文化の主役でもある。彼らの好むこれらのカルチャーや価値観は、今後も様々なトレンドを生み出す可能性が高い。

  まだ若いZ世代ではあるが、すでに無視できない経済的影響力を持ちつつある。淘宝(タオバオ)などのECプラットフォーム各社にとっても、Z世代は最大の消費層に成長しつつある。Z世代を知ることは、今後の中国の新しい消費を知る大きな鍵といっても過言ではない。

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