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【第458回】 “爆買い”の主戦場は海外から国内に!!
国内回帰で大盛況の中国高級ブランド品市場!!
2021年2月24日
 新型コロナの世界的感染拡大を背景に、大打撃を受ける高級ブランド品市場。傘下にヴァシュロン・コンスタンタン、カルティエ、モンブランなどを擁するリシュモングループは、 日本と欧米市場の2020年第2四半期の成長率は前年比60%減、中東及びアフリカも同じく38%減と、急速に萎みました。

 そうした中、この苦境の“救世主”として、同業界で期待されているのが中国です。いち早くコロナの感染拡大を抑え込んだ中国は、20年2月末にはすでに成長トレンドに転じ、その後は力強い成長を維持しています。

 コロナで海外への渡航が制限されたことで、海外での消費が国内に回帰。一時は全体の7割超が海外だった中国人の高級ブランド品消費。また海外での感染拡大で物流が滞り、海外通販(越境EC)も困難となり、国内回帰の波が一気に押し寄せました。

 実際に今年2月11日から始まった春節(旧正月)の大型連休期間中も、上海市内の高級ブランドモールでは、多くのショップ前に長蛇の列が出現。世界大手戦略コンサルのボストンコンサルティングによると、2020年に中国国内のオフラインチャネルで高級ブランド品を購入した人の割合は、前年の32%から59%に上昇したもよう。

 同様に、ブランド公式サイト・アプリ・ミニアプリは4%から16%、天猫・京東は5%から9%、ブランド品専門ECサイトも3%から7%にそれぞれ増加。一方、国外のオフラインは43%から6%、購入代行も12%から2%へと激減し、国外での消費は55%からわずか8%へと一気に縮小しています。

 コロナの影響が長引き、2019年の売上規模を回復するのは22年か23年頃と予想される世界の高級ブランド市場。市況は徐々に回復傾向となり、25年には市場規模が3,200億から3,300億ユーロに達するとも予想される中、その約5割を中国が占めるとも目されています。これまで以上に存在感を高める中国で、高級ブランド各社が今後どのように中国消費者を攻略していくのか、注目に値します。
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