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中国ヘルステック業界調査レポート(8)
アリババグループのリソースを結集「阿里健康」
2021年3月8日
アリババグループのリソースを結集「阿里健康」

健康医療分野にも触手
アリババ傘下の阿里健康

  アリババが、グループ傘下の阿里健康(アリヘルス)で健康医療領域に進出してから、すでに数年のときを経ている。

  新型コロナウイルスの流行期間中には、ウイルスの知識や感染状況マップ、ウェブ問診などを提供。慢性疾患患者を対象とした「買薬不出門(自宅で薬を購入)」のほか、「湖北地缺薬登記(湖北省薬不足登記)」など地域限定のサービスも提供した。

  電子決済の支付宝(アリペイ)は、海外の中国人に対する健康カウンセリングも展開。数十万人の海外滞在者に各種サービスを提供した。

  クラウドサービスの阿里雲(アリクラウド)やアリババ先端技術研究機関「達摩院(ダモ)」のAI(人工知能)システムも、カウンセリング、薬の研究開発、ウイルス遺伝子解析、臨床診断など多くのシーンで活用された。

  なかでも達摩院のCTスキャンAIは、湖北省をはじめ、上海、広東、江蘇、安徽など16の省・市の168の医療機関に導入され、診断件数は34万件に上った。阿里健康を中核とするアリババのスマート医療領域における実力が再認識される結果となった。

「ダブルH」戦略とは?
グループ内の医療業務を統合

  アリババは2014年に、中国の国有複合企業大手・中信集団(CITIC)傘下の薬関連情報トラッキング・監督管理サイト「21世紀」を買収。名称を「阿里健康(アリヘルス)」に変更し、健康・医療領域の参入を果たした。

  2017年には創業者の馬雲(ジャック・マー)が、ダボス会議(世界経済フォーラムの年次総会)で、「ダブルH(Health & Hapiness)」戦略を提唱。健康(Health)をアリババの今後の2大戦略の1つに掲げると宣言した。

  阿里健康は現在、アリババグループの健康戦略における唯一の総合プラットフォームだ。天猫(Tモール)内の医薬品業務を阿里健康へ移行するほか、淘宝(タオバオ)や支付宝(アリペイ)を窓口として、グループ内部での提携や編成も進んでいる。

  現在、阿里健康の業務は主に医薬品Eコマース+新小売、消費医療、オンライン医療、スマート医療などの領域に及んでいる。(※詳細は後述)(図12:阿里健康の主要業務)
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  2019年の財務報告によると、2019年3月末時点における営業収入は50. 96億元で、前年比108.6%増の成長だった。内訳は、医薬品の直営EC業務が82.95%を占め、医薬品ECプラットフォーム業務が13.54%、消費医療業務が2.52%。トラッキング業務とその他新規業務(オンライン医療、スマート医療など)はそれぞれ0.76%、0.23%となっている。(図13:2019年度 阿里健康の収入構成)
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